はじめに


「ダンスは世界共通言語」をテーマに、世界中のダンスを見てきたEXILE・ÜSAさん。野外フェス「PEACE DAY 19」では、オリジナルテキーラのお店を出すとともに、トークショーを行いました。そこで、旅色編集部はÜSAさんのお店にお邪魔し、世界を巡ったからこそ見えてきた、日本の魅力をお聞きしました。

“日本の踊り”を探しに全国を巡る


――日本中のお祭りや踊りを巡っているÜSAさんですが、そのきっかけは何ですか?

世界を旅していた時、出会う人たちみんなが「これが私の国の踊りです」というのを、誇りを持って見せてくれたんですよね。それがすごくかっこいい。それに対して、「日本の踊りはこれです」と自信をもって答えられるものがなくて。自分の国なのにこれは恥ずかしいと思いました。で、日本のソウルって何だろうと考えたときに、全国にちりばめられた祭りだと思ったわけです。それで、日本の祭りを巡って踊る旅を2013年から始めました。それまで世界でインプットしたものを日本でアウトプットしていたのが、日本のすばらしさを世界に発信するという方向にシフトしていきましたね。

盆踊りを見つめなおす


日本の祭りで言うと、今、盆踊りを見つめなおしていて。盆踊りって、老若男女、ダンスを習っていなくてもできる、素晴らしい踊りだと思うんです。海外の人からは、「日本人ってシャイであんまり人前で踊ったりしない民族でしょ」ってよく言われるんですけど、そんなことないんですよね。日本に祭りは30万個以上あるといわれているんですけど、そんなに踊りのある島国ってほかにない。盆踊りって櫓を囲んで輪になって踊るじゃないですか。それが、平和の「和」、僕の目指すワールドピースと通じるところがあるので、世界に広げていきたいと思っています。


――30万個以上もあるんですか!? それは意外でした。特に印象的だった盆踊りはありますか?

特に好きなのは、徳島の阿波踊り。メイン会場は有名ですが、実は路地裏とかでも皆踊ってるんですよ。盆踊りの一つなんですけど、エネルギーにあふれているし、躍動感がすごいんです、本当に。あの熱量はヒップホップにも通じるなと思って。
▲阿波踊りに参加するÜSAさん


――初心者におすすめの盆踊りはありますか?

郡上(岐阜県)で約30日間に渡って開催される「郡上おどり」のクライマックス「徹夜おどり」ですかね。日本三大盆踊りの一つなんですけど、一晩中踊るんです。石畳に下駄の音がカランコロンとずーっと鳴っているのがとてもいいですね。夜だから暗くてお互いよく見えないので、踊りに自信のない人でも参加しやすいと思います。十字路の中心に櫓があって、そこから櫓の方向へ進みながら踊る列と、反対方向へ踊る列の2列で踊る。同じ人と何度もすれ違うので、そのうちだんだん顔を覚えてくるんですよ。そういう風にして知らない人と出会えるところも素敵だと思います。

▲郡上踊りに参加するÜSAさん

祭りを創ることが今後の野望


――本当に日本にはいろいろなお祭りがあるんですね。今のÜSAさんが、海外の人に「日本の踊りは何?」と聞かれたら、なんと答えますか?

「30万個くらいあるけど、どれにする?」って言いますね。「今日は阿波踊りを紹介しよう」、みたいな(笑)。日本には八百万の神々がいるって言いますよね。お祭りってもともと神様を祭るためのものだったりしますけど、本当に、神様の数だけ踊りがあると思うんですよ。


――今後は踊りに参加するだけでなく、プロデュースにも力を入れたいと伺いました

踊りだけじゃなくて、装飾とかそういったものも含めて、トータルで祭りをプロデュースしたいと思っています。この時代だからこそ、僕たちにしかできない祭りを作りたい。もちろん日本の伝統的な部分も取り入れて。伝統×革新、みたいな。それが今後の野望ですね。


――今後してみたい旅はありますか?

僕はテキーラマエストロの資格を持っていて、今日(PEACE DAY 19)も「HAPPiLA(ハッピーラ)」というオリジナルテキーラのお店を出しているんですけど。テキーラの原料はアガベという植物です。それを山からとってきて自分で蒸留して飲むっていうのは、死ぬまでに絶対にやりたいことの一つですね。それをするには自分でロバを借りて、10日くらいかけなきゃいけないらしいんですけどね(笑)。

▲ÜSAさんプロデュースのHAPPiLA(ハッピーラ)


アガベの原産はメキシコなんですけど、「死者の日」っていうお祭りがあります。死んだ人が帰ってくるから、ガイコツメイクをして、死者の気持ちになって楽しませようっていうお祭りです。日本のお盆と共通しているところがありますね。だから、日本のお盆とコラボして、例えばみんなでガイコツメイクに浴衣を着て踊る、なんてことができるかもしれない。そういうのも叶えたい夢の一つです。

旅ができることは幸せ


――最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。

世界を旅して思ったのが、「旅ができることって幸せだな」ってこと。日本は、比較的自由に旅ができる国です。ちょっと頑張ればどこにだって行けます。世界には、パスポートをとることすらできなくて、外国に行けない人もたくさんいる。だから、旅ができる僕たちは、好奇心を持って、行けるところだったらどんなところにでも行くべきだと思いますね。


――ありがとうございました!


◆ÜSA
EXILEのメンバー・パフォーマー。2006年にプロジェクト「DANCEARTH」の活動を開始。「ダンスは世界共通言語」をテーマに世界を巡る。2013年頃から日本の祭り・踊りに注目。全国の祭りや踊りを巡る。2019年6月に自由人・作家の高橋歩さんとの共著『NEO ZIPANG』を発売。「伝統×革新」をテーマに日本の魅力を伝える。
出版社/株式会社A-Works
金額/1,600円

おわりに


世界を旅して、日本中の祭りを巡ってなお、たくさんのこれからやりたいことを語ってくれたÜSAさん。ご自身の言葉通り、どんなことにも好奇心を持って行動しようとする姿勢がうかがえました。今後やりたいことの一つが、祭りのプロデュースとのこと。ÜSAさんだからこそ創れる“伝統×革新”の祭りがどうできあがっていくのか、注目です。
情報提供元: 旅色プラス