はじめに


徳之島には、夕日を背景にかっこよく自撮りできるビーチがあるんです。そこはビーチロックに囲まれたプールのような浅い海のある独特な地形で、夕日を反射した時の美しさは格別ですよ。その他島のお気に入りの夕暮れスポットをご紹介します。

Text&Photo:とまこ

瀬田海海浜公園の、二重の海がきれいすぎる


かっこいい自撮りができるのは、徳之島の南西部にある「瀬田海海浜公園」の、断崖のすぐ下のビーチです。

徳之島の海沿いは断崖が多く、どこにでもビーチがあるわけではありません。なのでここは、波打ち際で夕陽を堪能できる貴重なスポットのひとつでもあります。ちなみに、駐車場やお手洗い、展望台も完備されています。

上の写真は、「瀬田海海浜公園」の上空から見渡したところ。断崖はなかなかの迫力でしょう! そして上に広がる風景はとってものどか。煙は畑で何かを燃やしているのでしょうか、島民のリアルな営みを垣間見る思いです。
「瀬田海海浜公園」の最大の魅力は、この二重になった海。内側のビーチロックに囲まれた海は水面がほとんど揺れないため、空に浮かぶ雲までもが見事に映り込みます。対して波のある外側の海の水面は、太陽の光だけに覆われてキラキラと揺れ輝くのです。二つの海のコントラストが、なんとも心に沁みますよ。
これは雲のある日の「瀬田海海浜公園」の夕暮れどきです。盛大な雲でさえも隠すことのできなかった強烈な光の筋。しっかり輝いていれば、何者でも邪魔することなんてできないんですね。なんてね(笑)!
ここでは、視界に入ってくるのは海だけ。半島も島影も、海以外には何にもありません。
小さな島でダイナミックな地球のサイズを体感できるとは。
さぁ、かっこいい自撮りはこちらです。ある晴れた日のマジックアワーに撮りました。太陽が沈んで20分後くらいです。空のてっぺんから闇が降りてきて、赤い光がどんどん低いところへと追い詰められてきました。

赤があんまり美しいから、赤い部分と同じ目線になってみようとカメラを砂浜において撮ったのです。手前の浅瀬に、赤い光がそのまま映りこんで神秘的。影絵のようなシルエットが浮かび上がってエキゾチック。外側の海とを分けるビーチロックの黒い横線が、赤い世界をピシッと引き締めてくれてかっこいい。なんだかポスターみたいでしょ。
夕日のお楽しみは日の入り後もだいぶ続きます。ぜひ最後まで堪能してください。 ◆瀬田海海浜公園
住所:鹿児島県大島郡伊仙町阿三

この世のものとは思えない美しさ。伊仙崎の夕焼けは、渋さ200%!


ここは人を呼ぶための整備はされておらず、畑の中をしばらく走って行くと、かろうじて未舗装の狭い駐車スペースが見つかります。すこし寂しいところ……そこが島の南端、伊仙崎です。
草はボーボー、岩はゴツゴツ、そして島の南の果てというロマンチックな事実。他のどことも違う独特な寂しい空気感が、情緒あふれる渋い夕日に出会わせてくれるのです。
空から見下ろすとこう。どうです、本当にゴッツゴツでしょ。

ここにザッパンザッパン波が打ち付けているんですから、最果て感しかありません。起伏はないけど、転んだら痛い目みそうな岩場なので、慎重に歩いてくださいね。

崖の上の大スペクタクル! 犬田布岬のスケール感がクセになる


犬田布岬は西の海にぐいっと突き出た、だだっ広いところです。

崖下の浜にあたる「瀬田海海浜公園」とは違って、崖上だからこそのスケール感がここにはあります。展望台に上ると、また一層の大スペクタクル! 心がスーッとクールダウン、心地いいったらありません。海と島を吹き抜ける風を体感してください。
この時は、一面の空がうっすらピンク色に。そしてすぐ、柔らかい水色へと変わり、静かに暗くなっていきました。真っ赤に染まるインパクトとは違うけど、これはこれで、なんかいい。しっとりとした穏やかな気分を授けてくれたのです。

あなたの旅でも、いい空が待っていますように。


◆犬田布岬
住所:鹿児島県大島郡伊仙町犬田布

おわりに


いかがでしたか? 小さな島のスケールの大きな夕焼けは感動がひとしおです。よかったら、カメラを地面に置いてあなた自身も写り込み、そんな世界の一部になってみてください。

◆とまこ
明治大学在学中からバックパッカーとしてデビューし、卒業後は秘境ツアーコンダクターに。現在は旅作家&おしゃれパッカーとして本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍中。著書に『離婚して、インド」(幻冬舎文庫)、『世界の国で美しくなる!」(幻冬舎)など既刊12冊。2017年9月20日には新刊『台湾で朝食を 日常よ、さようなら!』(メディアパル)発売。
情報提供元: 旅色プラス