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水野一郎・金沢工大教授を座長とする有識者委員8名で構成される「北陸新幹線開業による影響検証会議」は第4回目の会合にて、宿泊税導入を提言する内容の報告書案をまとめた。年内に山野乃義・金沢市長に提出される予定。
量から質への転換を図るような観光政策を考えたいとしていた検証会議であるが、提案書案では宿泊税について、「全ての宿泊施設利用者を対象とする京都市の制度を基本に早急に導入を検討する必要がある」としている。
宿泊税導入による試算では、全宿泊者から宿泊税を徴収する京都方式では7.2億円の税収、1万円未満の宿泊には課税しない東京及び大阪方式の場合、8,800万円(東京方式)~9,100万円(大阪方式)の税収が予想されている。
尚、市が宿泊業者220施設を対象に行ったアンケート(回答率65%)では、宿泊税の導入について、前向きな回答は23%、否定的な意見が27%となっており、宿泊業者の中では宿泊税導入の意見が割れている。
金沢市は2015年3月の北陸新幹線開業を契機に、主に首都圏からの観光客が急増している。それまで中部圏及び関西圏からのアクセスが中心であった金沢市であるが、北陸新幹線開業により首都圏から約2時間30分でアクセスが可能になり、今や首都圏からの観光客が中心となっている。
既に宿泊税を導入の東京・大阪、導入を決定の京都市は、外国人観光客増加を背景に宿泊税導入を行っているが、金沢市は日本人観光客増加を背景に宿泊税導入を検討しているケースと言うことができる。ただし過去の伝統文化を街の各地に残している金沢市は、外国人観光客が好む街でもあり、今後外国人観光客の増加も予想されている。
金沢市は人口約46万人であり、既に宿泊税を導入の(決定含む)東京・大阪・京都に比べ街の規模が小さい。よって観光客を受け入れるインフラも脆弱と言わざるを得ない。外国人観光客の急増で京都市民の生活インフラが悲鳴を上げているが、北陸新幹線開業により金沢市も京都市程ではないにせよ、市民の生活インフラに負担が生じている状態となっている。
ただし京都市の外国人観光客の増加による市民生活の圧迫は広く知られており、京都市民からは宿泊税の導入を支持する声が多い。一方で金沢市は現状では問題が広く認識されている状態ではなく、また宿泊税導入に対し宿泊業者の意見も割れている。
有識者会議の提言を受けて、金沢市が宿泊税導入に踏み切るのか、今後注目を浴びることになりそうだ。