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シェアリングエコノミー市場は、前年度比26.6%増の503億円超に―。矢野経済研究所がこのほど発表した16年度のシェアリングエコノミー調査結果によると、21年度には1,070億9,000万円(予測)に成長することが明らかになった。
シェアリングエコノミー市場の規模拡大の背景には、インターネットやスマートフォンの普及により、サービスの需要者と供給者が簡単にやりとりできるようになったことが挙げられる。
シェアエコの代表ともいえる民泊では、16年度に旅館業法施行令の一部が緩和されたことに加え、住宅宿泊事業法(民泊新法)の法案成立を受けて民泊への参入事業者が増加している。
特に注目されているのは、18年6月に施行される民泊新法の動向だ。同法では、インターネットからの届出で民泊の営業ができるなど事業参入のハードルを下げる一方で、年間の営業日数の上限は180日に制限される。
民泊市場には無許可の民泊施設が多数あるとみられており、これらの施設が撤退することで一時的に減少するが、経営体力のある国内大手や外資系の各企業の参入で市場規模は拡大すると予測している。
シェアリングエコノミーが追い風になる大きな理由である20年東京五輪・パラリンピックの開催は、多くのインバウンド(訪日外国人)によって、市場が活性化するとみられている。中でも最近、注目を集めているのが、交通のシェアリングサービスだ。過疎化が進む地域では、JRやバスなど地方の不採算路線が相次いで廃止になっている。
その代替えとして過疎地域における地域住民の足になっているのが、車を共有して利用する「カーシェアリング」と相乗りをする「ライドシェア」。特にここ数年で徐々に浸透している「ライドシェア」は自治体で取り組む事例も増えている。
シェアリングエコノミー協会は11月8日、全国の15自治体を「シェアリングシティー」に初認定した。シェアリングシティーとは、シェアリングエコノミーサービスを活用し、地域課題解決に取り組む都市を意味する。
北海道天塩町のライドシェア事業「notteco」では天塩町⇔稚内市(片道約70km)でシェアリングサービスを活用。また岩手県釜石市の「シェアのり」も同様のライドシェア事業を取り入れ、高齢者らの交通弱者対策にひと役買っている。
このほかにも、駐車場、店舗スペース、会議室、衣料品など多彩なシェアリングサービスが登場しており、宿泊は新鮮味を求める旅行者のニーズの高まりを受け、ホテルや旅館から民泊へ旅行者が流れていくと予測する。
調査は2017年4~10月にシェアリングエコノミーサービス提供事業者を対象に実施。専門研究員による直接面談、電話やメールによる取材、文献調査によって行った。結果として、15~21年度の市場規模の年平均成長率は18%で推移し、21年度に1,070億円超になると推測される中、民泊の今後の成長と各業界の連携に注目したい。