スカイマークの今後を決める債権者集会が、きょう8月5日午後、東京地裁民事20部で開かれる。スカイマークとANAホールディングス、インテグラルの3社が提出した債務者案(スカイマーク案)と、最大の債権者である航空機リース会社のイントレピッドが提出した債権者案(イントレピッド案)の2案が付議され、債権者は投票でいずれかを選ぶ。

ANAホールディングスが航空会社としてのスポンサーとなるスカイマーク案は、出資総額180億円のうち、投資ファンドのインテグラルが50.1%、ANAホールディングスが最大19.9%を引き受ける。

一方で、デルタ航空が航空会社としてのスポンサーとなるイントレピッド案は、出資総額はスカイマーク案と同じ180億円で、デルタ航空、イントレピッド、インテグラルの3社が引き受ける。

■議決される条件
債権者集会では、債権者数の過半数と、債権額をベースとした議決権の過半数いずれも上回った場合のみ決議される。そのため、いずれも選ばれなかった場合には続会となり、2ヶ月以内に再度債権者集会を開く。

債権者数では、ANAとの取引先が多いため、スカイマーク案が有利とされている。債権額ベースでは、イントレピッド、エアバスA330型機をリースする予定だったCIT、A380型機を製造したエアバス、A380型機のエンジンを製造したロールスロイスの4社が約95%以上を占めているため、大口債権者の動向に注目が集まっている。

■両案の違い
いずれの案も、債権者への弁済額は180億円から共益債権を差し引いた額となり、基本弁済は100万円以下の部分は100%、100万円を超える部分の5%と設定されている。イントレピッド案が可決された場合、イントレピッドはA330型機の届出債権のうち300億円を取り下げる意向を示しており、300億円のうち5%にあたる15億円を追加弁済することが可能になる。そのため、100万円以上の債権を持つ会社の場合、イントレピッド案のほうが弁済額が多くなることになる。

スカイマーク案では、ANAと燃料や部品の共同調達、共同運航(コードシェア)を行う見込み。イントレピッド案では、デルタ航空のシステムを活用して効率的な販売を行うほか、マイレージの導入、将来的にスカイチーム各社からの乗り継ぎやアジア路線の展開なども視野に入れる。

いずれも、スカイマークが持つ羽田空港の36枠の発着枠が維持される出資比率となる。

■債権者の動向 
8月5日付の日本経済新聞電子版記事によると、議決権のうち28.9%を占める大口債権者で、動向が注目されていたエアバスはスカイマーク案支持の方針を固めた。8月3日付の日経ビジネスは、「(総2階建て旅客機の)A380を複数機買う条件で合意した」と伝えている。スカイマークのA380型機をそのまま引き取るとすれば、同じく約15.7%の大口債権者であるロールスロイス製のエンジンを使うことが可能で、ロールスロイス製エンジンを使用するとなれば、ロールスロイスはスカイマーク案支持に動く可能性もある。

大口債権者4社のうち、CITは約13.4%を持つ議決権を2分割、ロールスロイスは13分割している。スカイマーク案とイントレピッド案の2つに投票することも可能となる。

イントレピッドは議決権の約38%を持つ。スカイマーク案に投票することは考えづらく、大口債権者のうち1社がイントレピッド案への投票を決めれば、続会となる可能性もある。

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情報提供元: Traicy