新型コロナウイルス感染症の感染拡大地域ではGo To トラベルキャンペーンを一部中止する方針が報道された。昨今、感染者数が急増しており、何らかの措置をとらざるを得ない状況だ。
一方で、21日に報道されて以降、具体的な措置の詳細についてはまだ発表されていない。この間も感染者数は増え続けているのに、なぜこのような状況なのか。ここでは、現状を整理していく。
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7月から先行開始された「Go To トラベル」。準備期間が少なく、見切り発車であったことは否めない。一方で、旅行代理店やオンライン旅行会社などの既存の販売チャネルを活用し、キャンペーンを利用した旅行をしやすくした。観光地への客足は戻りつつあり、素早く事業を開始した成果があったとも言える。
しかし、キャンペーン開始後の変更も相次ぎ、8泊以上の連泊やビジネス利用、宿泊料金より高額な品物などと抱き合わせた利用などを制限した。見切り発車であったデメリットが露呈しつつある。
Go To トラベル事務局などは、感染拡大時のキャンペーンの実施についても明確に定めてこなかった現状がある。参画事業者に対しては、利用者に「感染状況に応じて対象地域を含めて事業の運用方針が変わりうるというリスクがある」ことを周知するよう、通知していたが、具体的な取り扱いには触れていない。
おそらく、感染拡大時の具体的な取り扱いを、政府や事務局などは事前に決めていなかったため発表できていなかったというのが実情だろう。
政府や事務局で対応が示されていない以上、旅行代理店や旅行会社も対応できない状況だ。
これらを踏まえ、執筆時点では「Go To トラベル」の新規予約については制限されていない。感染拡大に対するキャンセル料の指針も示されなかった。
感染拡大をうけ、「我慢の3連休」といった単語も見受けられたようだが、多くの観光地は賑わった。ほとんどの場合、キャンセル料は通常通り請求されるため、「旅行しない選択肢を取れなかった」という旅行者も見受けられた。
断片的で少ない情報を整理すると、まず「Go To トラベル」の今後の取り扱いについて、事務局などは現在までには公式に発表していない。
執筆時点では札幌市や大阪市への旅行について、予約が一時停止される方針が固まった。具体的な対応は決まっていない。
現在の「Go To トラベル」の一時中止は、発表や報道が先行し、対応が後手に回っている状況だ。現在対策ができないなら、すでに感染拡大の防止対策としても「手遅れ」で意味がない状況といっても過言ではない。一時中止する意味があるのだろうか。
ただ、「Go To トラベル」が持続可能で、ウィズコロナの社会にふさわしいものであるために、今回の感染拡大をきっかけに、政府や事務局に感染拡大への適切な対応の仕組みや、情報発信を求めたい。