公正取引委員会は7月7日、マイナミ空港サービスに対し、独占禁止法第3条(私的独占の禁止)に違反しているとして、排除措置命令を行った。



2015年6月中旬ごろ、エス・ジー・シー佐賀航空が八尾空港での航空燃料の販売事業に参入するとの情報に接したマイナミ空港サービスは、八尾空港協議会の会員などに対し、新規参入によって過当競争を引き起こすとして参入に反対し、取引先に対して、エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料の混合に起因する航空機に係る事故等に自社は責任を負えないとして、エス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けた場合、自社の給油は継続できないほか、提携先給油会社からの給油の継続は困難になる旨を、協議会会員の11者に同年12月7日付の文書で通知した。



そのうち1者が、エス・ジー・シー佐賀航空と契約したことを受けて、自社が契約の相手方となれない間は、八尾空港、小牧空港、広島ヘリポートなどでの機上渡し給油による航空燃料の販売を停止する旨を2017年2月10日付けの文書により通知した。さらに同年3月15日頃にも、約250名の自社の取引先に対し、エス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けた場合、自社からの給油の継続はできない旨を通知した。



さらに、同年5月中旬頃以降、エス・ジー・シー佐賀航空から給油を受けた取引先からの機上渡し給油に係る依頼に応じる条件として、エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料が混合したことに起因した航空機に係る事故等が発生した場合でも自社に責任の負担を求めない旨等が記載された文書への署名を求め、これに応じない場合には、航空機の燃料タンク内の航空燃料の抜き取りを求めている。



航空燃料には国際的な標準規格などが存在しているものの、航空法には同油種・同等級の航空燃料の混合を禁止、もしくは制限する規定はない。通常、航空機の燃料タンク内には、異なる給油会社から給油を受けた同油種・同等級の航空燃料の混合が生じているものの、これに起因した、運輸安全委員会が公表した事故調査報告書は、1974年以降ないという。



マイナミ空港サービスは、札幌/千歳、東京/羽田、東京/成田、名古屋/中部、名古屋/小牧、大阪/関西、大阪/伊丹、八尾、広島の各空港と、東京ヘリポート、広島ヘリポートで、国内の石油元売会社から仕入れた航空燃料を給油会社として販売している。名古屋/小牧と広島ヘリポートでは、マイナミ空港サービスのみが販売を行っている。



エス・ジー・シー佐賀航空は、2012年8月頃から、佐賀空港などで国外の石油精製業者から輸入した航空燃料を販売している。2016年11月1日より、八尾空港での航空燃料の販売事業に参入し、それ以降、八尾空港での航空燃料の販売元は、両社の2社となっている。2018年4月から2019年1月までの、八尾空港でのマイナミ空港サービスの機上渡し給油の供給割合は8割を超えていた。

情報提供元: Traicy
記事名:「 公正取引委員会、マイナミ空港サービスに排除措置命令 独禁法違反