相鉄・JR直通線が開業し、相模鉄道(相鉄)が悲願の都心乗り入れを果たした。西谷駅から新たに開通した路線を通ってJR線に直通し、武蔵小杉駅から湘南新宿ラインのルートで新宿方面につながる新たな運行形態だ。西谷駅〜武蔵小杉駅間には相鉄とJR東日本の境界駅として羽沢横浜国大駅が開業した。
横浜市内とはいえ、周辺のめぼしい施設は貨物列車の駅くらいしかない羽沢横浜国大駅。物見遊山で訪れてみると、不思議なことに気付いた。
駅の自動券売機の上に掲げられているJRの運賃表を見ると、羽沢横浜国大駅から1駅の武蔵小杉駅までの運賃は310円。それに対し、武蔵小杉駅で横須賀線に乗り換えないとたどり着けない新川崎駅までの運賃は220円なのである。さらに遠いはずの鶴見駅に至っては170円という不可解なねじれ現象が起きている。
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この理由は、羽沢横浜国大駅〜武蔵小杉駅間の経路にある。相鉄・JR直通線は、従来は貨物列車専用だった東海道貨物線という路線を活用して開業した。羽沢横浜国大駅を出た列車はこの東海道貨物線を通り、鶴見駅付近で湘南新宿ライン系統の線路に合流。武蔵小杉駅に向かう。鶴見駅に列車は停車しないが、実は鶴見駅を経由する扱いになっているのだ。
そのため、運賃計算上は羽沢横浜国大駅の隣駅は鶴見駅。営業キロは8.8キロで、運賃は170円となるわけだ。新川崎駅にはJR・相鉄直通線の列車は停車しないが、羽沢横浜国大駅→鶴見駅→新川崎駅という経路と見なされ、運賃は220円になるのだ。
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ただ、本当に羽沢横浜国大駅から鶴見駅に行きたい場合は、武蔵小杉駅から横須賀線で横浜駅まで行き、さらに京浜東北線に乗り換えるなど、最低でも2回の乗り換えが必要になる。この場合の所要時間は約50分。50分あれば、新宿駅や海老名駅までたどり着いてしまう。運賃のねじれ現象の謎が解明したかと思えば、終点より隣駅が遠いという新たなねじれ現象が見つかる羽沢横浜国大駅は、やはり不思議な駅である。
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