こんにちは、トラベルライターのさかいもとみです。
さて、欧州に行って「体験したいこと」のひとつに挙げられるのが「ドーバー海峡を渡ってみる」というプランです。欧州の代表的な二都市・ロンドンとパリの両方へ行こうとする旅行者も多いのですが、その際、国際列車の旅もついでに経験しよう!と「ユーロスター」に乗るというスケジュールがよく組まれます。
ところがこのユーロスター、片道乗車券を買うと結構な値段となります。まして、全くの思いつきで「当日に駅に行って切符買って乗ればいいやー。」と考えて発券窓口に行くと、いきなり「片道200ポンド(約3万円強)」ととんでもない金額を言われます。本当にトンネルの旅を体験したいなら、やはり早めに計画を立てることをお勧めします。
分かりきったことですけど、ユーロスターでドーバー海峡を潜ったとて、所詮トンネルなので車窓の風景は真っ暗です。もちろんトンネル前後の風景は楽しめますけれど。
そこで筆者がオススメしたいのは、「バスでドーバー海峡を潜っちゃえー。」というプランです。ユーロスターの乗車券より随分と安く行けます。
「えっ?海峡トンネルって車なんて通れないはず」という意見を言いたい人もいるでしょう。確かにその通りで、海の下に道路トンネルなどはありません。じゃあ、どうやって海の向こうに行くかお教えしましょう。
ドーバー海峡の両岸をつなぐユーロトンネルには、電車特急であるユーロスターのほか、「ル・シャトル」というカートレインが約30分おきに走っています。バスやトラック、乗用車は自走して貨車に乗り、対岸まで運んでもらうというわけです。
貨車で走るというと、自動車を二段に積んで走るアレを想像する人もいるかもしれませんね。ところが、「ル・シャトル」は立体駐車場がそのまま移動するという感じの大掛かりなもの。二階建てバスがそのまま入るほか、船積み用の長大コンテナを積んだトレーラーも収容できます。
そんな大きなものなので、編成の両端にはトイレもあり、トンネル走行中に貨車内を歩き回ることもできます。売店でも作ってくれたらコーヒーくらい買うのに、と思いますが残念ながらそういった設備はありません。
世界でも稀な乗り物と言える「ル・シャトル」に乗るには、ちょっと工夫がいります。なぜなら全部のバスがユーロトンネル経由で走ってはおらず、一部の便はドーバー海峡をフェリーで移動することもあります。
時刻表に明確に「トンネル経由」と書いてある便もあれば、そうでないものもあるのがなんとも利用者泣かせです。目下のところ、ロンドンと欧州大陸の主要国との間には、3社の便が走っていますが、うち、ユーロライン社(英国ではナショナルエクスプレス社の名で運行)はトンネル経由とフェリー利用が半々、フランス資本のウィバス(OUIBUS)とドイツ資本のフィリックスバス(FlixBus)は概ねトンネル経由です。
もっともフェリーに行ってしまったら全く興ざめかといえばそうでもなくて、こちらは必ず船内のラウンジでの航海になりますから、船での移動中に食事やお茶が楽しめる(有料)ほか、デッキに出てドーバー海峡の風景を眺めることもできます。
バスの情報はなかなか日本語のソースで得ることは難しいかもしれません。各社の予約サイトでは、いずれも英語をはじめとする欧州の諸言語で書いてあります。翻訳ツールでいったん中身を読んだ上で、本来の言語で予約を進めてください(翻訳版のままだとエラーが出ます)。
欧州ならではのちょっと変わったバスの旅、ぜひ機会があったらトライしてみてくださいね。