東京メトロは12月17日、地下鉄開通90周年を記念して開業当時の様子を再現した特別列車を運行した。
東洋初の地下鉄、上野駅~浅草駅間の2.2キロ区間は1927年12月30日に開業。現在の銀座線の一部となっている。今回のイベントは“地下鉄開通90周年記念イベント「TOKYO METRO 90 Days FES!」スペシャル企画『銀座線タイムスリップ』”と題され、開通当時に導入されていた旧1000形車両をモチーフとした銀座線1000系第39編成特別仕様車が使われた。
1000系特別仕様車は車内全体の配色が通常の1000系と異なり、車内は木目調のデザイン、シートモケットは緑色にするなど、内装まで旧1000形をイメージされるものとなっている。手すりや握り棒は真鍮の質感を再現し、つり革はかつての「リコ式」風の形状だ。
さらに、往年の銀座線を彷彿させる予備灯点灯を再現する機能や、室内灯を電球色に切り替える調色機能なども備えている。この機能は「イベントモード」と呼ばれ、今回が初めての「イベントモード」での運行となった。
特別列車は午前11時9分、上野検車区を発車。同29分に上野駅を発ち、浅草駅へ走行。
車内では参加者の銀座線にまつわる思い出話などが募集され、「かつて銀座線に乗って会いに行っていた恋人が現在はフィアンセとなり、今日は2人で参加している」などといったエピソードがアナウンスで紹介された。
同34分、浅草駅に到着。銀座線の営業区間全14.3キロのさらに先にある折り返し線に入った。
折り返しの際、車内照明が電球色に切り替わった。同43分、浅草駅を渋谷駅に向けて発車。
車内には開通当時のデザインの復刻制服を纏ったスタッフが登場。参加者との記念撮影に応じた。この制服は今後、地下鉄博物館(東京・江東区)に展示する予定だという。
銀座線は第三軌条方式と呼ばれる特殊な集電方式が採用されており、かつては駅進入前のポイント通過時など、一時的に集電ができなくなる箇所で瞬間的に車内の照明が消灯していた。その間は予備灯と呼ばれる窓際の小さな照明が点灯するという光景が開業以来長らく続いていたものの、1983年に登場した01系車両でこの瞬間消灯は解消し、予備灯は姿を消した。今回のタイムスリップイベントでは、その瞬間消灯の光景も再現された。
記念撮影の際に瞬間消灯が発生してしまうハプニングも。
同53分、末広町駅と神田駅の間にある旧萬世橋駅を徐行しながら通過。(写真提供:東京メトロ)
午後12時15分、表参道駅を通過すると進行方向左側にライトアップが行われている旧神宮前駅が現れた。
渋谷駅手前の地上区間に出て、同17分に渋谷駅に到着。
渋谷駅の奥にある引き込み線に入って再度折り返し。
このタイミングで「イベントモード」は終了となり、車内のデジタルサイネージが稼働した。
折り返し後の発車待ちの際、車内では「発車メロディクイズ」を実施。3問出題され、正解者にはオリジナルグッズが配られた。
同33分、渋谷駅を発車。参加者は各駅を通過する様子を眺めたり、スタッフと会話したりして楽しんでいた。
午後1時1分、終点の上野駅に到着。およそ2時間のタイムスリップの旅が終了した。
このほか上野駅構内では、復刻制服を着用した係員が開通90周年記念の特別リーフレットを駅利用者に配布する光景が見られた。