いよいよ就航したエアアジア・ジャパン。拠点の名古屋/中部と札幌/千歳の間を1日2便運航。片道運賃は4,190円からと、最大のライバルとなるジェットスター・ジャパンより安く設定した。その後、ジェットスター・ジャパンもエアアジア・ジャパンより割安に運賃を改定したものの、投げ売りにも近いといえるエアアジア・ジャパンのセール運賃には勝てないだろう。



筆者は初便の離陸を見送り、2便目となる名古屋/中部発札幌/行きのDJ9便に乗り込んだ。思い返せば、就航初便の初めて乗ったのは春秋航空日本の東京/成田発広島行きだった。その時は無料で全員にドリンクサービスをした上に、機内販売もそこそこ売れていたため延々と進まず、サービスが全員に行き届かなかった。エアアジア・ジャパンは春秋航空日本の国内線とは違ってホットミールも提供するし、おそらく初便では撮影もままならないだろうということで見送ったというわけだ。





出発は午後5時10分で、筆者は早朝に空港内のカプセルホテルをチェックアウト後、初便の取材が終わった後は空港内のカフェやレストランを転々として記事を書いていた。館内アナウンスでは午後5時半以降のチェックインを一時見合わせるとも放送されていたものの、ほとんどのフライトは運航していたようだ。





ゲートは早朝のDJ1便は2番と一番端だったものの、搭乗するDJ9便は3番だった。いずれにしろセキュリティー通過後に少し歩く。ゲート近くのベンチには数十人の乗客が搭乗を待っており、航空ファンや報道陣が多かった初便と比較すると観光客のほうが多いようだ。聞いたところ、予約数は140名くらいだそう。



就航記念レセプションで、グループ最高経営責任者(CEO)のトニー・フェルナンデス氏は「高い運賃と戦う」と言っていたが、有言実行でまあまあ投げ売り価格で販売したんだろう。ちなみに当日予約でも5,000円台とお値打ち。



午後4時50分頃に搭乗が開始となり、初便ではないのに「初便搭乗証明書」をもらった。DJ9便と書かれているので初便の使い回しではない。ロゴ入りバッグに一緒に入っていたのは「豆乳イソフラボン化粧水」と「眠眠打破」といった出資者のノエビアグループの製品や、ボールペン、お菓子、機内誌など。エアアジアロゴ入りキャップやTシャツ、モデルプレーンといったものではなかった。





ブリッジでしばし待った後、午後4時55分には機内に入ることができた。おそらく機内販売のカートが前後から挟み撃ちにされるだろうということで、最後尾の通路側である31Cの座席を指定。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏に同行し、隣を指定していた。



搭乗は早くに済んだものの、汚水処理作業を行ったために定刻より26分遅れの午後5時36分に出発した。2機あって折り返しに充分な時間はあったので、その間にやっておいてほしかったが、テストフライトではそのような処理は必要なかったからなのかもしれない。離陸後の飛行時間はわずか1時間20分とのこと。台風22号の影響でかなり大きな揺れがあったものの、客室乗務員のチームワークが良く、わずかな時間で事前予約の機内食をスムーズに配布していた。初便のDJ1便では、機内サービスは揺れによりほとんどできず、事前予約の機内食も配布できずに返金になった人もいたという。その点では2便目を選択したのは正解だった。





機内販売の食事は2種類までしか事前注文できず、筆者は名古屋名物のきしめんをパスタの代わりにした「きしボナーラ」(750円)とストロベリークリームをサンドしたパンケーキをエアアジアロゴに見立てた「REDパンケーキ」(600円)を注文。鳥海氏は筆者と被らないように、マレーシアの伝統料理「ナシレマ」(750円)、「飛騨牛コロッケのベーグルバーガー」(600円)を注文していた。それぞれにボトルの水かコーヒーを事前に選択できた。







機内食でパスタが選択肢にあると筆者は注文するものの、伸び切っていたり美味しくなくて後悔するというパターンが結構多いように感じる。意外なことにきしめんをパスタ代わりにするとコシが残っていて、塩昆布がアクセントになった和風テイストで美味しい。「きしボナーラ」は”当たり”だ。一方で、機内販売メニューの表紙に載っている、おそらく一押しである「ナシレマ」は、写真と中身が大きく乖離している。写真にある色々なものがどこかに消え去っていて、ご飯が妙に幅を取っている。鳥海氏は3分の2を食べた後、筆者のテーブルに「食え」とばかりに無言で載せたが、拒否して突き返したらそっと残していた。心の声を代弁しておくと、評価は50点。







半分もらった「飛騨牛コロッケのベーグルバーガー」は飛騨牛感は全く感じられないものの、味はおいしい。パンの水分が加熱時に飛んでしまったようでちょっと硬いのが気になった。「REDパンケーキ」は小腹が空いたときのおやつにピッタリ。甘酸っぱいミックスベリーが甘さとマッチしていて、600円でコーヒー付きなら合格点。メニューと実物の差はほぼなく、パンケーキに描かれたエアアジアのロゴもリアルだ。



強い揺れが断続的に続いたため、かなり急いで写真を撮影して食べる必要があった。わずか1時間半の国内線でホットミールが必要なのかは疑問で、ピーチのように路線により搭載するメニューを絞ったり、ピーチのデニッシュ、バニラエアのクリームパンのようなすぐに提供できる名物メニューを開発するほうが現実的な気もする。4品のうち3品は割と満足度が高いようにも感じたが、他の乗客で「容器の4割くらいしか入ってなくてがっかりした。」と話す人もいたように、値段の割に物によっては量が少ないと感じた人もいるだろう。一度がっかりした人がまた注文することはないだろうし、最終的に機内販売や預け入れ手荷物といった付帯収入を増やしたいLCCにとって、自らの首を絞める結果になりかねない。





慌ただしく食事を済ませたところで、シートベルト着用サインが点灯。降下を開始した。到着は午後7時10分と10分遅れにまで巻き返したものの、オープンスポットだったためバスでターミナルへ向かった。

情報提供元: Traicy
記事名:「 エアアジア・ジャパンの機内食4食食べ比べ、名古屋/中部発2便目の模様【搭乗レポート】