東急電鉄の二子玉川駅で、英語での接客強化が進められています。きっかけは外国人乗降客の急増、そして同地への楽天本社移転です。

駅独自で英語の「お・も・て・な・し」

 IT大手の楽天が、2015年6月22日から二子玉川(東京都世田谷区)の新社屋へ移転を開始。9月下旬にはおおむね完了する見込みです。

 同社は英語が社内公用語であることで有名ですが、最寄り駅の東急田園都市線・二子玉川駅ではこれを機会に、駅係員が英語での接客サービス向上を目指して活動を始めました。

 活動を進めているのは、駅係員の有志が自発的につくったプロジェクトチーム。リーダーの吉田明華さんは「これまで、外国人のお客様に英語が通じなくてうまくご案内できず、悔しい思いをしたこともありました。今年4月にエクセルホテル東急がオープンし、今回の楽天本社移転もあって、二子玉川駅ではさらに英語での接客の必要性が増しています。そこで、まずは少しでも英語に慣れてコミュニケーションをしようと考えました」と話します。

 メンバーは東急グループ内の語学教室でも英語を学んでいるほか、上達した人が別の社員にスキルを広めるなどして、全体のレベルアップを図っているそうです。

増加するニコタマのインバウンド、1年で10倍に

 二子玉川駅のプロジェクトチームは、英語でのコミュニケーションをサポートする補助ツールも制作。想定される問い合わせシーンごとに英語での対応が書き示されており、たとえば定期券の区間変更など込み入った内容でもスムーズに進められるよう、工夫しています。

 二子玉川駅では外国人の乗降客が急増しており、昨年は1日あたり1人から2人だったのが、今年は1日あたり10人から20人になっているとのこと。そしてインバウンド客に加えて、楽天本社移転でさらにビジネス客も増えると予想されます。2020年の東京五輪を見すえて、国を挙げた「おもてなし」の必要性がいわれるなか、こうしたそれぞれの駅の実情に合わせた対応が広がることが期待されます。
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情報提供元: 乗りものニュース