- 週間ランキング
1つは「フロントのスプリングシートは基本、触らない」。ネジ式と同様に、ココを下げると車高も落ちるが、その前にロアブラケット側でショックを縮めて落とすのが大前提。この機能を使わなければ全長調整式の意味がない。
「プロでも稀に昔のネジ式の感覚で落とそうとする方がいる。それだとストローク量が減るので、『落ちたけど乗り心地が悪いなぁ』ということになっちゃいます」。
もう1つは「リアの車高はスプリングで決まる」。ワゴン系はほとんどがスプリングとショックが別体の構造。フロントのようにショックの全長を縮めても、基本的に車高は変わらないのだ。
「その辺をよく理解せず、むやみにショックの全長を縮めると、ストローク量が減るばかりか車高も落ちない。おかしいと思ってスプリングのアジャスターを調整すると、今度はショックとのバランスが悪くて乗り心地もイマイチ…といったケースが考えられます」。
それを避けるためには、まずスプリング側で車高を決め、次にそれに応じたショックの長さに調整すること。1G状態(タイヤが接地した静止状態)を基準に、伸び側にも縮み側にもバランス良くストロークできる調整が理想だ。
ブリッツ・小林さんが実験!
スプリングシートの位置を下げるとスプリング自体も下がり(=車高も下がる)、アッパー側とスキマが空く。それが「遊んでいる」状態で、保安基準NGにつき車検もアウト。リフトから降ろすと車重でスキマは埋まるが、クルマが跳ねて一時的にショックが伸びた際にはガチャガチャと異音が出る。また内部は常にショックが縮んだ状態となるため、クルマが沈み込むとバンプタッチしやすく、乗り心地も悪化。
バンプタッチの衝撃を警戒して踏めない…
「普通なら街乗りでバンプタッチまではなかなか行かない。でもこのセッティングだと、大きめの段差を踏んだ時に『ドンッ』と衝撃が来る。そうそう起こるわけじゃないけど、怖くてあまりアクセルが踏めない感じですね。特に人を乗せるとさらにタッチしやすくなるのでストレスです」。
スプリングには触らず、ロアブラケットの調整でリアショックを縮め、車高ダウンを狙った例。車重を支えるのはあくまでスプリングなので、ショックを縮めたところで車高は変わらず。さらにショックを縮める=中身が伸びた状態となり、伸び側のストロークが不足。クルマが跳ねた際などに限界まで伸びきってしまい、異音・衝撃・破損の原因となる。車高を変えるにはまずスプリングのアジャスターを調整しよう。
両者で車高の変化はなし。写真はリフト状態なので少々分かりにくいが、リフトから降ろす(1G)と、縮めた状態の方は内部的に伸びきりに近い感じになる。
ゴツゴツした異音と衝撃で乗り心地は大幅に低下
「そこそこスピードが乗った状態でストロークする度に『ゴツゴツ』という硬い異音が発生。同時に車内にも振動が伝わってきます。これがいわゆるショックの伸びきり状態ですね。縮む分には最終的にバンプラバーが止めてくれますが、伸びきった場合は金属同士の接触になるので、コッチの方が衝撃がダイレクトに来る。こんな状態で普段乗りするのはキビシイですよ〜」。
取材協力:ブリッツサポートセンター 0422-60-2277
https://www.blitz.co.jp
スタイルワゴン2019年10月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]