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運転席に乗り込む際はちょっと大袈裟に言えば、どっこいしょとよじ登る久しぶりの懐かしい感覚だ。乗降性の善し悪しではなく求められた機能を優先するため。やはりFJクルーザーはSUVではなく“クロカン4駆”だと表現したくなってしまう。
運転席周りは骨太でやはり機能的。だが、最初に試乗したカラーパッケージの場合、ボディ同色パネルがあしらわれているため、ことのほかポップでもある。上手い演出だ。
走り出してまず感じるのは新鮮ともいえる前方視界。角度が立てられている上に短めのAピラー、横に広く天地は短く感じるフロントウインドウ、視界に入るボンネットの面積など、ひとつひとつにこのクルマならではの世界を感じずにはいられない。しかもけして視界が悪いことはなく、斜め前方やボンネットの見切りは、むしろしやすい方だ。
全モデル共通の4ℓV6エンジン+5速ATはパワー、トルクともに十分すぎるほどの実力で2t前後のボディ重量を苦にすることはない。もっと大味なテイストかと思っていたのだが、エンジンの吹け上がりやATマナーは良好。グレード感も兼ね備えた頼もしい走り味を醸し出している。
試乗したカラーパッケージは標準的なサスと17インチタイヤだったが、その乗り味は端的にいってソフト。大きめのロールを許すし、レーンチェンジなどでの揺り戻しもあるが、こうした走りのペースが妙に似合って感じられる独自の魅力がある。
これがX‐リアス&20インチタイヤのモデルになると、同じソフト系の乗り心地でもしなやかさを伴うテイストになり、コーナーリングではロールが抑制されて揺り戻しもグッと少なくなる。オンロード走行、特に高速道路のロングドライブなどでは、こちらの方がスタビリティレベルが上がるので走りやすくなるし、当然ながら安心感が高い。
今回の試乗は高速走行、ワインディングなどのオンロード走行だけだったので、もうひとつ設定されているビルシュタイン製モノチューブダンパーのオフロードパッケージの真価をうかがうことは出来なかったが、そのポテンシャルはかなり高いはずだ。
※記事の内容、価格、スペック等は2010年11月のデビュー当時のものです。その後の一部改良等で変更になっている可能性もあります。
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]