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ここでは津田レーシングの津田代表にJB64ジムニーのエンジンチューニングについて教えてもらった。快適性を重視する津田代表の方向性を踏まえつつ、JB64のエンジンの基本性能から、どんなチューニングメニューがあるのかまで、じっくりと探ってみよう。
津田レーシング
まで幅広く手掛けるプロショップ。アメリカ「トレイルギア」社とパーツ開発を行うなどパーツメーカーの一面も持つ。ここではJB64のチューニングについて津田直澄代表にアドバイスしてもらった。
●住所:奈良県宇陀市榛原高井208
●☎︎0745-82-7737 ●http://www.tsudaracing.com
●営業時間:10:00〜20:00
JB64のR06A型は現行アルトワークスと同じエンジン
まず始めにJB64とJB23のエンジンについて触れておこう。JB23のエンジンはK6A型、直列3気筒インタークーラーターボでDOHC12バルブ、ボア×ストロークは68・0×60・4㎜、圧縮比は8・4、最高出力は64馬力、最大トルクは10
・5㎏・m。これに対してJB64はR06A型、直列3気筒インタークーラーターボでDOHC12バルブVVT、ボア×ストロークは64・0×68・2㎜、圧縮比は9・1、最高出力は64馬力、最大トルクは9・8㎏・m。カタログ数値からわかることは、JB23はショートストロークの高回転型エンジンで、JB64はロングストロークの低中回転重視のエンジンということ。
最大トルクはJB64の方が若干控えめになっているのがわかる。そのあたりのエンジンの素性の違いを津田代表に尋ねてみた。
「JB64のR06A型エンジンは、現行のアルトワークスなどと同じエンジンで、今ハヤリの小排気量・高圧縮ターボ。K6A型に比べロングストロークで圧縮比も高くなっているので、タイプ的には中低速重視で、上がもったりという感じのエンジンになっています。
実際に乗ってみると、JB23と車重はほとんど変わらないのにかなりもったりした印象がありました」と津田代表。
そのもったり感を改善するにはどんなメニューが考えられるのか?「いわゆるジムニー専門ショップとは方向性が異なるかもしれませんが、津田レーシングとしてのJB64ジムニーのエンジンチューニングと思ってください。このJB64は欧州車に乗っている方が奥さんとか娘さんに購入される方が結構多いので、まずは欧州車が好きな人がチューニングする方向にのっとってウチではチューニングの方向性を考えました。
JB64のエンジンチューンとしては、吸排気系の効率アップ、インタークーラーの大容量化によるターボの効率アップからのパワーアップという具合。さらにやるのであれば、エキマニ交換、タービン交換などになると思います。ノーマルのバルブタイミングは燃費重視のセッティングになっているので、上が回るようなセッティングにすればクルマの性格もガラっと変わります。そのあたりはECUの
書き換えで対応できると思うのですが、今のECUは結構補正能力が高くて、サブコンで燃料を増やしてもコンピューターがO2を補正するので、メインのコンピューターを書き換える方が確実です。
それ以上やると扱いにくいクルマになってしまうので、そのあたりが限界じゃないかと思います」。
純正を改造するのではなく改善するのが今のチューニング
吸排気系の効率アップは、ノーマルが樹脂やゴム系パイピングなどを多用しているので、アルミ製にすることで抵抗を減らし放熱性もアップできます。
エンジンがロングストロークのトルク重視なので、マフラーは純正メインパイプ径32φを42φまで大きくして、タイコから後は50φという仕様にしました。これによってヌケが良くなり流速もアップ。下はそのままで上が伸びるというマフラーになっています。マフラーは静かだけど性能はアップするというのが最近の主流。このマフラーによって1速高いギアが使えるようになり、発進は2速でOK、4速のままどこでも走れるので運転が楽になった。
そこが一番のメリットかもしれません。
今のチューニングの方向性は純正を改造するんじゃなくて改善するという方向性だと思います。改善によってちょっとでも乗りやすくするというチューニングが、若い方や女性も乗るようになったJB64にはオススメだと思いますね」と津田代表が教えてくれた。
津田レーシングでは、足まわり、エンジン、ブレーキの基本性能をアップして快適に乗れるようなチューニングメニューを用意。
吸排気系の効率アップがエンジンチューンの第1歩
津田代表が指摘してくれたようにJB64のエンジンは、樹脂やゴム製のパイピングが多用されている。
熱で変化しやすく段付きなどでスムーズな空気の流れを邪魔するパイピングは、アルミパイプなど高効率タイプに交換したい。また空気の入口であるエアクリーナーも吸気効率の高いものへと交換するのが王道だ。
インタークーラーの大容量化でパワーアップ
インタークーラーはタービンで圧縮した空気を冷やす装置。
空気は圧縮すると高温になり、高温のままエンジンに送り込むと異常燃焼の原因になるため、インタークーラーで冷やしてからエンジンに送り込む。
冷やした空気を大量にエンジンに送り込むことでパワーアップも図れるため、大容量インタークーラーは効果的。
アルミパイプで見た目も効率もアップ
津田レーシングのJB64には写真のようなアルミ製インテークパイプやムキ出し型エアクリーナーが装着されている。
アルミ製パイプは熱による変化がすくなく、スムーズな空気の流れを可能にする。ムキ出し型エアクリーナーは吸入効率がアップする。
ブローオフはブースト圧を安定させる
ターボ車では安定したブースト圧のキープは重要なポイント。
必要以上に圧力がかかった場合に、ブローオフバルブがその圧力を逃がすことでタービン破損を防止し、フルブースト時でもブーストがリークしてパワーダウンするということがなくなる。
JB64に関しては快適性を損なわないようなチューニングメニューを考えている津田レーシングの津田代表。詳しいチューニングメニューに関しては同社のウェブもチェックしてほしい。
ハイパーレブ vol.235 スズキ・ジムニー No.5 2019年5月31日発売号より
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