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フランスのルメール経済・財務相、ドイツのアルトマイヤー経済相、欧州委のシェフチョビチ副委員長(エネルギー同盟担当)がパリで共同記者会見を開き、プロジェクトの概要を明らかにした。それによると、民間部門が40億ユーロを投資し、仏独政府など公的部門が最大12億ユーロの補助金を拠出する。補助金についてはすでに欧州委が承認済み。現時点で仏自動車大手グループPSAと傘下の独オペル、仏エネルギー大手トタルの電池子会社サフトが参加を表明しているほか、複数の自動車メーカーを含む35社以上がプロジェクトに関心を寄せているという。
計画によると、フランスの工場で2020年にも試験的にEV用電池の生産を開始。4年以内にフランスとドイツに1カ所ずつ工場を新設し、それぞれ1,500人を雇用する。両工場ではまず、電解質に液体を使う従来型リチウムイオン電池の改良版を生産し、25~26年をめどに電解液を固体にした次世代の全固体電池に移行する。
ルメール氏は「今回のプロジェクトは欧州にとって戦略的に極めて重要だ」と強調。アルトマイヤー氏は「過去に例のない画期的なプロジェクトだ。欧州自動車産業の需要を満たすだけでなく、欧州産の電池を全世界に輸出することが目標だ」と述べた。
車載電池はEVの生産コストの約4割を占める。EV向けのリチウムイオン電池セルは中国の寧徳時代新能源科技(CATL)、韓国のLG化学やサムスンSDI、パナソニックなどが大きなシェアを握っており、欧州の自動車メーカーはこうした企業から電池セルを購入している。中韓勢がドイツや東欧に進出し、スウェーデンではスタートアップ企業のノースボルトが主導するギガファクトリー(EV数十万台分の電池を供給できる巨大工場)構想が動き始めるなど、今後は欧州での生産拡大が見込まれる。