わたくしは以前「輸入中古車評論家」を名乗り、基本的には古めのクルマすなわち絶版車を愛好する生活を送っていた。


だが近年は、手持ちの絶版車をアッサリ売り払ったうえで新車を購入。そして「新車のレポート」みたいな仕事も、恥ずかしげもなく受注している。


そんなわたくしが過去の中古車業界と現在のそれとをなんとなく見比べてみると、「変わったなぁ」と思うことはたくさんある。そのうちのひとつが「ネットの普及」だろう。


「ネット普及」の光と影



わたくしが自動車メディア業界に奉職した1995年頃、日本でもインターネットはそれなりに普及が始まっていた。しかし草の根レベルでは「まだまだ」だった。中古車を探すのもネットではなく「分厚いカーセンサー」で探す時代だったのだ。だが、今や中古車検索は完全にネットの時代である。


紙のカーセンサーもグーもいまだ頑張って刊行を続けているが、あれは主には「中古車を探してもらうため」ではなく、「自ブランドのプレゼンスをコンビニや書店の店頭で訴求するため」に刊行しているのだと思う(知らんけど)。


それにつけても、なんとも便利な「ネット」という代物である。中高年たるわたくしといえども、もはやネット環境なしの生活は想像すらできない。そのように便利きわまりないネットではあるが、不愉快というか不都合なこともないわけではない。


誹謗中傷の類である。


「発言権の民主化」は良いことだとは思うものの



ネット環境成立以前は、誰かが何らかの意見を広く表明したいと思った場合、主には下記のような方法をとる以外なかった。


1. なんらかの商業メディアに就職し、そこの制作部的な部門で働く

2. なんらかの商業メディアに、作者、タレント、あるいは識者的な立場で発言の場が用意される人間になる

3. 自費出版などを行う

4. 自分の意見を書いた紙などを大量にコピーし、各所の電柱などに勝手に貼り付ける。もしくは郵便等で各所に送りつける

5. 供託金を払って選挙に出馬し、政見放送を行う


ほかにもあっただろうが、だいたいこんなところだろう。


だが現在は違う。ネット環境さえ持っていれば誰もが、「ネットという巨大な公共空間」に向かってなんでも発表することはできる。


わたくしは、それは良いことだと思っている。


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情報提供元: CL
記事名:「 クルマ業界も例外なしの「ネット普及」の光と影。ネット上の誹謗中傷に圧倒的に役立つ「バカモノの法則」