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だが近年は、手持ちの絶版車をアッサリ売り払ったうえで新車を購入。そして「新車のレポート」みたいな仕事も、恥ずかしげもなく受注している。
それゆえここ最近は取材で「輸入車の中古車屋さん」に行く頻度は落ちているのだが、それでも行くときは行く。
で、久しぶりに輸入中古車販売店さんに行って思うのは、「昔と比べてガイシャ屋さんもずいぶん小ざっぱりしたものだな」ということだ。
23年ほど前、わたしが輸入中古車専門誌の編集記者になりたてだった頃の輸入車販売店は、ほとんど『ミナミの帝王』の世界だった。
………と書いてしまうと誤解を生むな。えーとそうではなく、正しくは「ごく一部の輸入中古車版売店は『ミナミの帝王』の世界だった」です。
もちろん多くの販売店さんは(今と同様に)小ざっぱりとした雰囲気で、まっとうな商売をされていた。だが一部の販売店はそうではなかったのだ。
実例でお話ししよう。
何の用事があったのか今ではすっかり忘れたが、神奈川県某市の某輸入中古車販売店(現在はもう無い)に、新米記者だったわたしが行ったときのことだ。
実写版ミナミの帝王のなかの竹内力を13倍ほど凶悪にしたような人相および風体の店長らしき人が、自らのデスクにドーン!と足を載せ、電話で誰かを詰めていた。
顧客に対して脅しをかけていたのだろうか? いやさすがにそれはないと思われるので、推測だが、
1. 営業成績が悪い自社社員を詰めていた
2. 出入りの業者さんを詰めていた(もっと安くしろ、とか)
のいずれかだったのだと思う。そのどちらだったにせよ、とにかくそれは異様な風景だった。
メルセデス・ベンツなどが並ぶまあまあ瀟洒なショールームの奥に、まるで半社会勢力のオフィースのような風合いの執務室があり、そこで「竹内力×13倍」が吠えているのである。どう考えてもそこは「車を買うべき場所」ではない。
これは、20年以上前のわたしが経験したなかでも極端な例だ。しかしこれが「唯一」というわけではない。