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荷物も人も積めて、一度鞭を打てばスポーツカー顔負けの運動性能を発揮する。そんなスポーツセダンにも、現在では二つの流れがあるように感じています。一つ目は、保守的なセダンのイメージを保ちつつ、外観はできるだけ控えめにする場合。二つ目は、保守的なセダンのイメージを外観から壊す、派手なスタイリングや演出を持つ場合です。
日本で生産されているスポーツセダンは、現在は二つ目のパターンに当てはまる場合が多いように感じます。スバル・WRX、ホンダ・シビック・タイプRなど。レクサスGS Fはまだ少し地味な方でしょうか。一方で輸入車の場合は、一つ目のパターンに当てはまることが多いかもしれません。かつては派手なエアロパーツで武装していたものの、現在ではシックでラグジュアリーなスタイリングのAMG、外観での主張は最小限のアウディのS/RSシリーズ、年々過激になっていく性能とは裏腹に控えめなスタイリングを守るBMW Mシリーズなど。アルピナにいたっては控えめな外観こそが美徳、と自ら公言しています。
とくにドイツ人は控えめな外観に関してこだわりが強いようで、クルマだけでなく、ソファやチェア、クローゼットなどの家具類や、WMFをはじめとする食器類、シーメンスやミーレといった家電類、ライカやカール・ツァイスといった光学製品類も、虚飾を排したとてもシンプルなデザインであることが多いです。外観での奇をてらわず、性能や品質、精度の高さで勝負、といったところでしょうか。
前置きが長くなりましたが、今回撮影したアルファロメオ2000ベルリーナも、地味な外観に高度なメカニズムを内包した、スポーツセダンのお手本のようなモデルといえます。イタリア生まれのクルマではありますが、シンプルなデザインが好きなドイツ人にとっては、ひとつ下のグレードのモデル、ジュリア・ベルリーナよりも好ましいデザインなのかもしれませんね。