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わたしの認識によれば2018年、世の中の過半の人間は長らく続く不景気に起因する貧困に苦しみ、白米にイモを混ぜた代用食を食う、非正規雇用ゆえの諸問題に思い悩む、国会前でデモを行うなどしているはず。
無論わたしもそのひとりだ。デモは興味がないためいっさい参加しないが、白米に缶詰の大豆を混ぜてかさ増しした代用食を食べながら、この原稿を書いている。
統計データも世の中の貧困傾向を裏付けている。やや古い数字で恐縮だが、平成26年の民間給与実態統計調査結果によれば、全給与所得者に対する年収1000万円以上の者の割合は男女計でわずか4.1%。ボリュームゾーンは300万~400万円台といったところだ。年収300万~400万円台は貧困層とは呼べないが、決して裕福な暮らし向きではないことは説明するまでもないだろう。
それなのに、我が村は大小さまざまな戸建て住宅の建築ラッシュで湧いている。……これはいったいどういうことなのだ?
今「大小さまざま」と申し上げたが、我が村はなかなか地代が高い場所であるため、猫の額に毛が生えた程度の、つまり東京都においてはよくある面積の住宅用土地であっても、その価格はおおむね1億円となる。安めに見積もった場合でも7000万から8000万円は下らないだろう。
その土地代約1億円に加え、いわゆる「上モノ」のコストもかかる。わたしは戸建て住宅についてまったく詳しくないため詳細は不明だが、おそらく2000万円ぐらいはかかるのだろう。知らんけど。
この不景気のさなか、なぜそんなお金(1億2000万円とか)を村の者たちは持っているのだ? あるいは信用金庫とかが平気で貸してくれるのだ?
「大小さまざま」の大のほうはさらに強烈である。
我が長屋の近所に広大な空き地があったのだが、ある時、土地の周囲に柵のようなものができた。わたしは「ふむ、野村不動産が小さめのPROUDマンションシリーズでも建てるのだろう」などと思いながら、テキトーにその近隣を日々散歩していた。