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そして中国の自動車に関する嗜好はちょっと変わっている。それは「セダンとSUVが好まれる」というもので、ミニバンやワゴンは大変な不人気車種だ。よって、街中を見渡すと、そのほとんどはセダンとSUV、という状況になる。
もうひとつ日本と異なるのは「クーペ」もほとんど見ない、ということだ。最近は日本でもクーペ人気は下火だが、中国では下火どころの話ではない。
「まったく」といってもいいほど見ないのだ(ただしポルシェ等の高級スポーツカーやスーパーカーを除いて、だが)。
これにはひとつ、明確な理由がある。単にクーペはセダンやSUVに比べ販売価格が「高い」のだ。
そして、これは「関税」に由来する。関税とは、主に自国産業を守るため、何らかの物品を輸入しようとする国が、その物品に税金をかけ、自国内に入ってくる輸入品の価格を「上げる」ために使われる。自動車に関して言えば、中国は自国の自動車産業を守るため、輸入するクルマに完全をかけ、その価格を上げることで、中国の自動車メーカーがつくる自動車の競争力を高めているわけだ。
2018年6月の時点で、中国の自動車に対する関税は25%だが、輸入するだけで100万円のクルマのコストが125万円になるということだ。そして輸入するには輸送費用や通関費用、現地の法規に適合させるための手間がかかる。こうやって輸入車は高くなってゆく。
だから、中国でクルマを売りたい外国の自動車メーカーは中国で生産を行う。そうすれば関税はもちろん、海上輸送などの費用をカットできるからだ。
ただし現地で生産を行うにも様々なハードルがあり、「ラインナップすべてを」中国生産とするのは難しい。まずは「よく売れるモデルから」現地生産化するのが通常の考え方だ。
よってメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMWもまずは量販モデルとなるスモール/ミドルクラスのセダン、SUVから現地生産を行う。そして、もともと数があまり出ないであろうクーペは「後回し」だ。