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トランプ政権発足後、日米間の外交交渉を論ずる一般メディアの論調に、こんな意見があちこちで見受けられた。
「いまさら右ハンドルで日本の道路事情に合ったサイズのアメリカ車など、誰が買うのだろうか。」
きっと優秀で一流大学を卒業しているのかもしれないが、この手の意見を目にするたびに私は落胆したものだ。こういう論調を展開する執筆者自身が、「そういうクルマが販売されればぜひ私も買ってみたい」という一文でも入っていれば、たとえそれがポーズであったとしても、ああなるほどなと思うが、残念ながらそういう文言は見つからない。というより、そもそもそんなことをいうはずがないのである。だってそんなアメリカ車には、魅力がないのだから。
そんなアメリカ車に一文の値打もないことはもはや公理と言ってもいいだろう。ただ、それぞれクルマを見ていけば魅力を感じる部分ももちろんあるが、こういうところでやり玉にあげるような、クルマのいいところに目を向けない人や気づけない人には、アメリカ車の良さは到底理解できるとは思えないのだ。
日本自動車輸入協会(JAIA)の試乗会に今年もお誘いいただき参加してきた。輸入車に乗るということは一番簡単にできる異文化交流である。私は常々そう思っている。大磯ロングビーチの駐車場にたくさんの輸入車が集まり、一気にその魅力を肌で感じることができるこの機会は、個人的にもとても尊い機会であり、異文化交流する上で楽しみにしているイベントの一つだ。
2月6日~8日の3日間開催された今年のJAIA試乗会。初日の最初にステアリングを握ったクルマが、キャディラック XT5 CROSSOVER プラチナムであった。新しいキャディラックのラインナップの中核を担うプレミアムSUVである。「左ハンドルのみのキャディラックのSUV」字面だけで前述のような論調を展開する記者諸兄には、毛嫌いされそうなクルマだが、それこそ、そういう人にこそ乗ってもらいたい。おおらかさすら感じるこの一台に、私自身も目が覚める心地を覚えたのだった。