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例えば自分の場合、ファッションにはさほどの興味も知識もない。本日着用しているモノなど、下方向から順に並べるなら、
・コンバースの黒いズック靴(6000円ぐらい)
・ユニクロの靴下(3足1000円)
・ユニクロのサルマタ(1枚500円ぐらい?)
・ユニクロの黒いズボン(4000円ぐらい)
・ユニクロのスーピマコットンVネックシャツ(1枚800円ぐらい?)
・ユニクロの白いシャツ(たしか2000円ぐらい)
・パタゴニアのマウンテンパーカ(よく覚えてないが2万円ぐらい)
・どこかの夜店で買ったニット帽(600円ぐらい)
である。さすがに上っぱりまでユニクロというのは少々はばかられるため、自分としては大枚の金弐万円也を投じた美国・加州のパタゴニアを着用したが、それ以外は「ほぼ全身ユニクロ」だ。それでも自分は衣服に対して特に興味も知識もないため、何の問題も疑念もなく、天気が抜群に良かったこともあって、大変なハピネスを感じながら今日という1日を過ごすことができた。
だが、もしも自分がいわゆるファッションに深い造詣と興味を持っている人間であったなら、決してハピネスは感じなかっただろう。
値段からすれば粗悪ということもないのだが、それでも一流品と比べるなら断然イマイチなユニクロの素材とイマイチな縫製、そしてタイトなブランド品と比べると緩すぎるシルエットなどを、その深い造詣と知識により的確に認識してしまうため、「あぁ、ボクはなんだってこんなダサい格好で天下の往来を歩かねばならないのだ。恥ずかしくてたまらない。や、他者の目ウンヌンの前に、ボクのファッショニスタとしての矜持がこの状態を許さない。……よし、死のう」などと、一気に自死の線まで行ってしまう可能性すらあるだろう。
これすなわち、衣類に対する「好き」が引き寄せてしまった「不幸」である。