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ディーラーでの整備経験と中古車販売経験を持つ私、若林が解説いたします。
車のエンジンがかからない原因は多岐にわたります。ここでは、エンジンがかからない原因と、その対処法について詳しく見ていきましょう。
車のエンジンがかからない原因の中で、最も単純なものが燃料不足です。いわゆるガス欠で、最低限の量が燃料タンクに残っていなければ、いくらセルモーターを回してもエンジンはかかりません。ガソリンやディーゼルなどの燃料を必要としない電気自動車の場合は、充電切れもしくはそれに近い状態になるとエンジンがかからなくなります。
また、燃料の残量が少ない状態で坂道に駐車した場合、燃料タンクが傾いてガソリンが吸い上げられず、エンジンがかからないケースもまれに見られます。
メーターの燃料残量警告灯が点灯していたら、タンク内には5~6L程度の燃料しか残っておらず、ガス欠間近です。その状態でエンジンを停止すると次に始動させてもかからないことがあるので、燃料残量警告灯が点灯したらすぐに給油しましょう。坂道に駐車しているケースでは平地に移動することでエンジンがかかることもあります。
高速道路などすぐに給油できない場所で燃料切れによりエンジンが停止した場合は、惰性で動くうちに路側帯に移動し、ロードサービスを手配します。
車のエンジンがかからない原因でよくあるのがバッテリー上がりです。バッテリー上がりとは、車を動かすために十分な電気量がバッテリーにない状態で、エンジンがかかりにくい、または、かからなくなります。
バッテリー上がりは、車に長期間乗らずにいたことで放電してしまうケースや、ヘッドランプや室内灯の消し忘れ、バッテリーの劣化などによっても起こります。
また、車のバッテリーランプが点灯している場合、バッテリー上がり以外の原因として、オルタネーターの故障やファンベルトの断裂なども考えられます。この場合はバッテリーの交換と故障箇所の修理が必要になります。
バッテリー上がりが原因で車のエンジンがかからない場合は、バッテリーを充電することで解決します。ブースターケーブルを使用して救援車から電力を分けてもらったり、一時的にバッテリーを充電できるジャンプスターターで充電したりしてみましょう。
ただし、こうした方法で充電できる電力はごくわずかなものなので、エンジンがかかったらバッテリーを充電するためにある程度の距離を走行する必要があります。あまりに何度もバッテリー上がりを起こすようであればバッテリーの寿命が近いので、交換を視野に入れましょう。
エンジンがかからず、バッテリーランプが点灯している場合は単純なバッテリー上がりではない可能性が高く、その場での詳細な原因の判断・対処は難しいといえます。ロードサービスを手配し、最寄りの修理工場などに持ち込むことをおすすめします。
シフトが正しい位置に入っていないと、車のエンジンはかかりません。よくあるのが、停車する際に「D(ドライブ)」に入れたままエンジンを切ってしまうケースです。AT車ではシフト位置が「D」のままエンジンをかけると警告灯が点灯し、エンジンはかかりません。
AT車は、シフト位置が「P(パーキング)」もしくは「N(ニュートラル)」に入っていないとエンジンがかからない仕組みになっています。ただし、シフトが「N」でブレーキがかかっていないと、車が動いてしまう可能性があります。シフトが「P」に入っていることを確認してからエンジンをかけましょう。
最近では電制シフトなども登場しており車によってシフトの位置や操作方法が異なるので、乗り慣れない車に乗ったときはシフト操作に戸惑うこともあるかもしれません。慌てずにシフトの位置を確認してみましょう。
電制シフトを採用している車種の中には、スマートキーが車外に出たことを検知すると自動でシフト位置を「P」に入れる車もあります。
エンジンは、正しい手順を踏まないと始動しません。エンジン始動の手順を間違えていることが、エンジンがかからない原因になることもあります。
AT車は、ブレーキを踏み込んでいないとエンジンは始動しません。また、MT車の場合は、2000年前後より後に生産された車はクラッチペダルをしっかりと踏み込まないとエンジンがかからないようになっています。
AT車はシフト位置が「P」であることを確認したうえで、ブレーキをしっかりと踏み込んでエンジンを始動させてみましょう。
MT車の場合はクラッチペダルを床まで踏み込み、シフトが「N」に入っていることを確認したうえでエンジンを始動させます。なお、古いMT車の中にはクラッチペダルを踏み込まなくてもエンジンを始動できる車種もあります。
ハンドルロックはほとんどの車に備わっている基本的な盗難防止技術で、エンジンをかけずにハンドルを動かそうとした場合にロックがかかり、ハンドルが固定される装置です。エンジン停止後に無意識のうちにハンドルを動かしてしまうケースや、子供がいたずらでハンドルをさわりロックがかかるケースが多いといわれています。
一度ロックがかかってしまうとハンドルが動かせず、そのままではキーを回せなくなります。
ハンドルロックの解除には、キーが必要です。シリンダーキーでキーを回してエンジンをかけるタイプの車の場合は、ハンドルを動く範囲で左右に動かしながらキーを回すとロックが解除されます。
キーを挿さずにエンジンスイッチで始動するスマートキーを採用している車のときは、エンジンスイッチを押すことでロックを解除できるものもあれば、スマートキーを携帯した状態でハンドルを動かしながらエンジンスイッチを押すとエンジンがかかるものもあります。
いずれの場合も、不意に車が動き出さないようシフトが「P」に入っているかを確認したうえで作業しましょう。
スマートキーは、キーが発する電波を車側が受信することでロック解除やエンジンの始動を行っています。そのためスマートキーの電池がなくなると車側がキーを確認できず、ロックの解除やエンジンの始動ができません。
スマートキーの電池が切れると、まずドアの解錠ができないのでその時点で電池切れに気付きます。自宅などに予備の電池があれば電池を交換すれば問題はないですが、急いでいる場合はスマートキーに内蔵しているメカニカルキー(物理キー)でドアの解錠をするでしょう。しかし、ドアの解錠はできてもエンジンの始動ができずに戸惑うこともあるかもしれません。
スマートキーの電池が切れている状態でエンジンをかける方法はメーカーや車種によって異なるので、あらかじめ取扱説明書で確認しておくようにしましょう。
例を挙げると、トヨタ車の場合はブレーキを踏んでシフトは「P」に入っていることを確認したうえで、スマートキーのトヨタのロゴ部分をエンジンスイッチにかざします。そうするとブザー音がするので、音がしてから10秒以内に改めてブレーキペダルを踏み込み、エンジンスイッチを押すとかかります。
中にはスマートキー採用モデルであってもメカニカルキーを挿し込む場所があり、非常用のメカニカルキーを挿し込んで回すとエンジンがかかる車種もあります。
車のバッテリーは寒さに弱く、気温の低い冬場になると十分な放電力が得られなくなりセルモーターをスムーズに動かせず、エンジンがかかりにくくなることがあります。
特に寿命が近いなど劣化したバッテリーは要注意です。「キュルキュル」と音がしているのにエンジンがかからない場合は、セルモーターは動いていますが、クランクシャフトがうまく動いていない状態で、これも電力不足が原因です。
ただし、キュルキュル音がするのにエンジンがかからない場合、電力不足以外にもスパークプラグの劣化などの可能性もあります。
また、気温の低下によりエンジンオイルの粘度が上がり、エンジン内にうまく行き渡らなくなることが、エンジンがかからない原因になることもあります。
寒い時期にエンジンがかからない場合は、無理に何度もセルモーターを回すと負担がかかり、故障につながる可能性があります。エンジンをかける動作は連続して行うのではなく5分程度の間隔をあけて何度か繰り返してみましょう。次第にエンジンやエンジンオイルが温まり、エンジンがかかりやすくなります。
寒冷地では、直射日光が当たる場所などに駐車し、エンジンが温まりやすい状態にしておくことも寒さ対策のひとつとして有効です。また、遠隔でエンジンを始動できるエンジンスターターキットなどを取り入れるのもひとつの方法でしょう。
コネクティング機能が使用できる最新モデルの車には、リモートスタートができるものもあります。
セルモーターは、エンジンをスタートさせるためのモーターでスターターモーターとも呼ばれます。バッテリーからの電力によってモーターを動かし、エンジンを始動させる役割を担っています。
通常セルモーターを回すと「キュルキュル」という音がしますが、この音が安定せずに長く続く、エンジンスタートをしてもセルが回らないなどでエンジンがかからない場合はセルモーターが故障している可能性があります。「ガガガ」という異音が続く場合はセルモーターが回っているものの、バッテリーからの電力が不足し回りきっていない状態です。
セルモーターは比較的故障しにくいパーツではありますが、故障してしまった場合はその場で対処できることはほとんどありません。ディーラーやロードサービスに連絡を入れ、対処してもらう必要があります。
ただし「ガガガ」音がしているなど、バッテリー上がりなどの電力不足でセルが回っていないのであれば、ブースターケーブルを使って救援車から電力をもらうなどのバッテリー上がりの対処法でエンジンがかかるケースもあります。
発電機の役割を果たしているオルタネーターが故障すると、電力を生み出すことができないためエンジンはかかりません。
また、車の電気系統に何らかのトラブルがあり、過電流になった場合はヒューズが断線し、電流を断ち切ります。ヒューズが断線することで各パーツに及ぼす、過電流によるダメージや車両火災などから車を守っているのです。ヒューズが切れた状態になると電装品が動かなくなるほか、エンジンを動かすための電流が得られずエンジンがかからなくなるケースがあります。
ヒューズの交換作業そのものは難しいものではありませんが、ヒューズが切れる原因を突き止めておかないとまたすぐにヒューズが切れることになります。どこに原因があるのかを一つひとつ確認する必要があるので、対処はプロに任せるのがおすすめです。
エンジンがかからない原因は車の故障や不具合によるケースもありますが、意外と多いのがシフトの入れ間違いなどの人為的ミスです。まずは落ち着いて、エンジンをかける手順を見直してみましょう。かからないからといって何度もセルを回し続ける方も多いですが、セルの故障につながるので回しすぎは厳禁です。致命的なダメージになる前に、プロに点検・修理を依頼しましょう。
スマートキーの電池切れなどを除き、よほど車に詳しくない限りは、エンジンがかからない原因をすぐに見極めるのは難しいのではないでしょうか。
車のエンジンがかからないときは、どこに原因があるのかを一つひとつ確認していきましょう。ここでは、車のエンジンがかからないときのトラブルシューティングの手順についてご紹介します。
ブレーキを踏まずにキーを挿入して、ACC(アクセサリー)またはONの位置まで回してみましょう。スイッチ操作でエンジンスタートをするものは、エンジンスイッチを押してACCモードにしてください。ACCモードはエンジンを始動しませんが、室内灯やパワーウィンドウ、オーディオなどを使用できるモードです。
このとき、メーター内表示が点灯し、パワーウィンドウが動いたりオーディオが作動したりするのであれば、バッテリー上がりではありません。エンジンがかからない原因はバッテリー以外である可能性が高いといえます。逆に、ACCモードでメーター内表示が点灯しない、パワーウィンドウが動かない場合はバッテリー上がりが原因と考えられます。
シフト位置を確認してみましょう。AT車なら「D」に入っていればエンジンはかかりません。
そして、エンジンの始動手順を一つひとつ確認しながら、正しい方法で一度作動させてみましょう。
ブレーキペダルやクラッチペダルの踏み込みが足りない、もしくは、ボタンを押すタイミングやキーを回すタイミングが早すぎてエンジンがかからないケースも散見されます。
また、心当たりがなくてもハンドルロックがかかっていないかどうかも確認しておきましょう。
車の機能に不具合がない場合は、この段階でエンジンがかかります。
電装品は動いている状態でエンジンを始動させたときに、セルモーターが動いている気配がなければヒューズ切れの可能性があります。
またセルモーターが回るものの「ガガガ」などの異音がする、「キュルキュルキュ…キュキュ…」など作動音が安定しない場合はセルモーターの異常が考えられるでしょう。
バッテリー交換をした直後であるなど、バッテリーの劣化やバッテリー上がりの可能性が低いのにもかかわらず電気系統が機能しない場合は、オルタネーターの故障によって電気が供給されていない可能性が高いといえます。
バッテリー上がり、人為的ミス以外の原因の突き止めは、プロでなければ難しい部分もあります。エンジンがかからなくなった場所にもよりますが、高速道路などの路肩では本格的なセルフ修理などはできません。危険も伴うので、適度なところで見切りをつけてロードサービスなどを手配しましょう。
「エンジンがかかるか確かめる際の操作手順」を試してもエンジンがかからない場合は、自力で対処することが難しい状況である可能性が高く、専門業者などに連絡して助けを借りる必要があります。
エンジンがかからないときの連絡先としては、おもに次のような業者が挙げられます。
自力でのエンジン始動が難しい場合は、車はその場から動かせないのでJAFなどのロードサービスを手配しましょう。バッテリー上がりや燃料切れなどの単純なトラブルであればその場で修理してもらえることもありますが、原因がわからない場合やその場では対処できないトラブルの場合は最寄りの自動車整備工場やディーラーなど修理ができる場所まで移動する必要があります。
自動車保険(任意保険)に付帯するロードサービスによって、無料またはお得な料金で対応してもらえるケースもあります。加入している自動車保険の付帯サービスを確認してみましょう。
なお、サービスの保証対象は契約している車両のみとなる点にはご注意ください。
近くに自動車整備工場やガソリンスタンドがある場合、そこへ車を持ち込むことでバッテリーの充電や交換をしてもらうことができます。バッテリーの寿命も確認してもらい、その結果を受けて交換してもらうことも可能です。
出張サービスに対応している自動車整備工場やガソリンスタンドもあるので、車が動かせないときには、その場所まで来て修理してもらうこともできます。
任意保険に付帯しているロードサービスを使用しても、保険等級は変わりません。ただし、修理に車両保険を使うと保険等級が下がり、翌年度の保険料が上がることがあるので、修理代金と保険料の兼ね合いを考えながら保険を使用するかどうかを検討することをおすすめします。
エンジンが突然かからなくなってしまう事態は、できる限り避けたいものです。また、万が一トラブルに遭ったときもスムーズに解決できるよう、対策を確認しておきましょう。
定期的に車の点検や整備を受けておくことで、エンジントラブルの予防につながります。また、エンジントラブルに遭ってしまったときに原因を判断しやすくもなるでしょう。
おすすめは、ディーラーやガソリンスタンドで洗車サービスを利用する際に、合わせて無料点検を受ける方法です。無料点検では、エンジンオイルの劣化状態やオイル量、バッテリーの寿命、バッテリーターミナルの緩みなどを見てもらえます。
ブースターケーブルがあれば、バッテリー上がりを起こしたときに、周りの車に救援してもらうことができます。救援側がケーブルを持っていない可能性があるため、普段から車に載せておくと安心です。
また、小型バッテリー充電器のジャンプスターターは、バッテリー上がりを起こした際に自力で対処できるため心強い備えとなるでしょう。
電子キーの電池は量販店などでは取り扱っていないものが多いため、あらかじめ予備を用意しておくと安心です。
また、電子キーが電池切れを起こしたときでもエンジンをかけられるよう、取扱説明書も一通り確認しておきましょう。
JAFや自動車保険のロードサービスに加入しておくと、エンジントラブルなどで走行ができなくなってしまったときにサポートを受けられます。状態チェックから修理作業、レッカー作業まで行ってくれるので、万が一のときのために加入しておくと安心です。
また、すぐに利用できるロードサービスとその連絡先をリストアップして携帯しておけば、トラブル時もスムーズに救援依頼ができるようになります。
ブースターケーブルやジャンプスターターは、車に載せておくだけではなく、使い方を理解しておきましょう。また、長年載せっぱなしにしていると、クリップ部分がさびたりケーブル皮膜が破れたりすることもあるので定期的に状態をチェックしておくことをおすすめします。
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*(社)日本自動車リース協会連合会によるデータ「車種別・全国リース車保有台数の推移と対前年比」による
車のエンジンがかからないことについて、よくある質問をまとめました。
何が原因で車のエンジンがかからないかを確認しましょう。考えられる原因としてはバッテリー上がりやハンドルロック、エンジン始動手順の間違いなどの人為的ミス、オルタネーターやセルモーターの故障などが考えられます。
シフトの入れ間違いなどの人為的ミスやハンドルロック、スマートキーの電池切れのほか、セルモーターやオルタネーターの故障、電気系統の故障などが考えられます。
キュルキュルと音がしているのにエンジンがかからない場合は、セルモーターは動いているけれども点火がうまくいっていない、または電力不足などでクランクシャフトがスムーズに動いていない可能性が高いでしょう。スパークプラグの交換や、バッテリーの充電などの対処が必要です。
ヘッドライトや室内灯が点灯し電装品が動くのにエンジンがかからないのは、バッテリー以外に原因があるケースがほとんどです。エンジン始動の手順などの人為的ミスがないか、セルモーターは動いているかなどを一つひとつ確認し、原因を突き止めたうえで対処する必要があります。
車のエンジンがかからず、自身での対処が難しい場合はJAFなどのロードサービスを手配します。任意保険に加入している場合はロードサービスが付帯しているケースがほとんどなので、保険会社に連絡をとってみましょう。
※この記事は2024年4月時点の情報で制作しています