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この航路で使用されている「シルバークイーン」船内の様子やフェリーターミナルへのアクセス方法、さらには宮古~盛岡間を結ぶおすすめのバスをご紹介します。
▼目次
やってきたのは、JR室蘭駅から徒歩15分ほどの場所にある室蘭港フェリーターミナル。
今回の旅は、ここから始まります。
JR室蘭駅から徒歩で移動できる位置にあるものの、大きな荷物をもっての移動は正直大変です。
室蘭港フェリーターミナルへは、道南バスの路線バス(一部の便のみ)が乗り入れているほか、札幌~室蘭間の高速バス「高速むろらん号」(北海道中央バス)「高速白鳥号」(道南バス)の一部の便が乗り入れていますので、少しでも楽をしたい方はバスを利用するのが断然便利です。
札幌から移動する場合、室蘭港出港時刻が20:50ですので、札幌駅前ターミナル16:00発の道南バス「高速白鳥号」もしくは同所17:05発の北海道中央バス「高速むろらん号」がフェリー乗船に最適な便になります。
▼バス便の詳細はこちら
現在の室蘭港フェリーターミナルの建物は、1994(平成6)年に完成し、2017(平成29)年から2018(平成30)年にかけて改修されました。
かつては、室蘭~大洗や室蘭~八戸、室蘭~直江津といった長距離航路も発着していましたが、現在は室蘭~宮古航路のみが発着しています。
1階には受付カウンターが、2階には待合室と売店があります。
写真はありませんが、売店の品揃えも豊富で、みやげ類もこちらで購入することができます。
ぜひとも売店で購入して味わっていただきたいのがこちら。
室蘭の名物「室蘭やきとり」が入った「海の旅弁 室蘭やきとり弁当」です。
普通の焼き鳥は鶏肉が使用されますが、「室蘭やきとり」で使用されるのは、なんと「豚肉」!豚肉と玉ねぎを使用した串焼き料理として、多くの室蘭市民に親しまれています。中を開けてみます。
ご飯の上に竹串に刺さった豚肉と玉ねぎが3本とネギ焼き、うずらの卵、お新香、そして「室蘭やきとり」に欠かせない練りからしが入っています。
甘みの強いタレに絡んだ豚肉がおいしく、あっという間に完食してしまいました。
室蘭港出港時刻は20:50ですが、乗船は20:05頃から開始。
専用のブリッジを渡って乗船します。
今回乗船するのは、「シルバークイーン」という船です。
総トン数7,005トン、全長134.0m、航海速力20.7ノットを誇り、旅客定員は600名、トラック69台と乗用車20台を積載することができます。
かつては、苫小牧~八戸航路で活躍していましたが、室蘭~宮古航路就航にあわせて新たに配船されました。
船内への入口はBデッキ(5階)にあります。早速、船内を見てみましょう。
入口から船内に入ると、案内所兼売店があります。
酒類、菓子類、おみやげ類、オリジナルグッズを販売しているほか、個室利用者の鍵の受け渡し、2等船室利用者のための毛布の貸し出し(有料:400円)もこちらで行なっています。
案内所の斜め後ろには、自販機コーナーがあります。
後述のオートレストランにも自販機がありますが、こちらでは飲み物類とカップラーメンの自販機が置かれています。
客室はBデッキ(5階)とAデッキ(6階)に分かれており、Bデッキには2等室と2等寝台B、個室の1等和室と1等洋室が、Aデッキ(6階)には2等室と個室の特等室があります。
なお、この便は途中の青森県八戸港へ寄港する便となっており、2等室については下船先によって部屋が分かれていました。
今回私がお世話になったのは、2等寝台Bという客室。昔ながらのベッドタイプの寝台部屋です。
Aデッキ(6階)に上がると、オートレストランがあります。かつては船内レストランとして営業していましたが、現在は冷凍食品や飲み物類の自販機が置かれています。
商品も充実しており、ポテト・から揚げ・焼きおにぎりといった軽食類から、チャーハン・焼きそば・パスタ・助六寿司といった本格的なものまで、食事類は基本的にこちらで全てまかなうことができます。
もちろん、事前に売店やコンビニなどで購入したものをこちらに持ち込んで食事をすることも可能です。
同じくAデッキ(6階)には、ゲームコーナーがあります。
フェリーといえばコレ!と思われる方も多いのではないでしょうか。
展望浴室は、Aデッキ(6階)からさらに上がった場所(コンパスデッキ)にあります。
夜は22:00まで、朝は06:30から入港(07:55)まで利用することができます。
船内では、Wi-Fiサービスが提供されています。
記載されている設定方法に従って設定するとWi-Fiが利用できますが、エントランス付近でしか使用できず、さらに接続制限(時間と回数)があるため、あくまで緊急的なものと考えた方がよいでしょう。
以上、「シルバークイーン」の船内をご紹介しましたが、多少古いとはいえ、室蘭~宮古間11時間の船旅を快適に過ごせる設備はほぼ整っているといえましょう。
20:50定刻に「シルバークイーン」は室蘭港を出港しますが、出港直後にぜひとも見ておきたいビューポイントがさっそく現れます。
室蘭港を跨ぐ「白鳥大橋」のライトアップです。
この白鳥大橋のライトアップをひと目見ようと、多くの乗客が甲板に出ていました。
白鳥大橋は、室蘭市陣屋町と対岸の絵鞆半島(えともはんとう)にある祝津町(しゅくづちょう)を結ぶ東日本最大の吊り橋。
現在は、国道37号の通行無料自動車専用道路として運用されています。
ライトアップされた白鳥大橋を見たところで、展望浴場へ。入浴後にのんびりしていましたが、次第に波が高くなり、揺れも大きくなってきたことから、この日は早めに寝ることにしました。
翌朝、目を覚ますと、時計の針は6:00を過ぎていました。
八戸港寄港(03:30~04:00)には気付かなかったようで、結構な揺れの中、よく寝ていたようです。
もう一度展望浴室にて朝風呂を堪能し、身支度を整えて下船の準備をします。まもなく宮古港へ入港です。
そして07:40過ぎ、定刻よりも若干早く「シルバークイーン」は宮古港に接岸。下船開始です。
岩手県宮古市は、岩手県の三陸海岸に面する人口約5万2千人のまち。
「本州最東端のまち」として、また東日本で最も早く朝日が見られる場所として知られており、浄土ヶ浜や魹ヶ埼(とどがさき)灯台といった観光名所も数多くあります。
宮古港フェリーターミナルビルは、2018(平成30)年6月に出来たばかりの新しい建物。受付カウンターや待合室、売店は全て2階にあります。
また、この建物は東日本大震災の教訓を生かした造りにもなっており、屋上は津波襲来時の緊急避難スペースにもなっています。
宮古港到着後のアクセスも、バスが便利です。
宮古港フェリーターミナルには、岩手県北自動車の盛岡~宮古・山田間路線バス「106急行バス」がフェリーの発着に合わせて乗り入れており、このバスに乗って宮古駅前、そして盛岡駅間まで移動することができます。
運賃は、宮古駅前まで160円、盛岡駅前まで2,140円です。
乗り換えなしで盛岡へ移動する場合は、「106急行バス」宮古港乗り入れ便を利用するのが断然便利なのですが、実はわざわざ宮古駅前で降りてでも乗ってほしいおすすめのバスがあります。
そのバスとは…同じく岩手県北自動車が運行する盛岡~宮古間2階建てバス「盛宮106特急」です。
スウェーデン・スカニア社のシャーシにベルギー・バンホール社の車体を架装した外国製2階建てバスで運行されており、2階席の一部座席と1階席は3列シートになっています。
トイレも完備していますので、万一の際も安心です。
このバスのセールスポイントは、なんといっても2階席からの車窓。3列「ビューシート」最前列の席で、壮大なパノラマを味わいたいものです。
「盛宮106特急」事前予約制となっており、運賃は宮古駅~盛岡間の4列スタンダードシートが2,070円、同区間の3列シート(2階ビジネスシート/1階ビジネスシート)が2,550円となっています。
詳しくは、こちらの記事を参考にするとよいでしょう。
室蘭~宮古間フェリーの一般運賃は、2等室が6,100円、2等寝台Bが8,140円(いずれも2019年10月1日現在)となっていますが、実は現在、三陸復興キャンペーンと題して「開設1周年記念割引」を実施しており、期間限定で運賃が40%引きになります。
これにより、室蘭~宮古間の2等室が3,660円、2等寝台Bが4,890円と、かなりお得な運賃で利用することができるのです。
「開設1周年記念割引」は、2020(令和2)年1月31日の室蘭発便まで。室蘭~宮古間航路の利用は、まさに今がお得です。
今回は平日の木曜日に利用しましたが、悪天候による波の高さで多少揺れたものの、お風呂に入ってベッドで寝たということもあってか、約11時間の移動時間を快適に過ごすことができました。
もし揺れが少なければ、快適度はさらに増したかもしれませんが、天候次第で快適性に差が出るフェリーならではともいえましょう。
フェリーのメリットはいくつかありますが、大きなメリットはなんといっても
この2点なのではないでしょうか。
そして、今回は1人旅での利用でしたが、個室で夜遅くまで歓談したり、レストランや大浴場を楽しめるフェリーの旅は、グループ旅行や子連れ旅行に最適です。鉄道やバスの旅だと、さすがにこうはいきません。
また、大海原を望みながらのんびりと過ごすフェリーの旅は、日常の謙遜から逃れて気分をリセットさせてもくれます。
聞くところによると、定期の夜行寝台列車が全国各地で廃止されてからは、フェリーが見直されている傾向があり、相次ぐ新造船の就航や長距離航路新設計画の発表など、フェリー業界も再び活性化しつつあるようです。
普段とは違った旅をしたいのであれば、フェリーの旅はかなりおすすめ。あなたの次回の旅の候補に、「フェリー」を入れてみてはいかがでしょうか。
(須田浩司)