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2019年3月26日に西日本JRバス金沢営業所にて、4月1日から運行している特別仕様貸切バス「花嫁のれん 第二章」のお披露目式が開催されました。
お披露目式には野中雅志社長をはじめ、本バスのデザインを担当された加賀友禅作家の毎田健治(まいだけんじ)氏らが出席。
北陸エリアの新しい観光の足として、またバスそのものを観光目的のひとつとして、国内外の観光客に利用してもらいたいとのこと。さらには2台目、3台目の導入についても意欲的な意向を示していました。
さて、そんな「花嫁のれん 第二章」とはどんなバスでしょうか?
2015年3月に開業した北陸新幹線は、東京と金沢の間を結び、北陸に新しい観光時代の波を呼びました。
北陸新幹線と同じ年に運行をスタートした、JR七尾線を走る観光列車「花嫁のれん」は5年目を迎えてなお、現在も乗車率90%を越える人気ぶりです。
そんな中、列車の軌道に縛られずもっと自由に行動したいというニーズから、観光列車の遺伝子を継承した特別仕様貸切観光バス「花嫁のれん 第二章」が誕生しました。
花嫁のれんとは金沢に伝わる伝統で、婚礼の際に嫁ぎ先へ持参する嫁入り道具のひとつ。玄関でのれんをくぐり相手方の先祖に新しい家族として迎え入れてもらう挨拶をおこなうそう。婚礼においてはとても縁起の良いものとされ、古くから伝わる風習です。
華やかな車体は、加賀友禅作家 毎田健治氏が「花嫁のれん 第二章」のために書き下ろしたデザインで「石川県の華やかな四季」を表現し、実際に染めた加賀友禅を元にラッピングした日本に1台しかない特別なバスです。
さらに使用している車両は夜行高速バスで人気のグランドリーム号。「花嫁のれん 第二章」のために作られたまったくの新車両です。
ステップを上がり、車内へ入ると迎えてくれたのは花嫁のれん。
のれんをくぐりバスに乗車するのは初体験。縁起の良いバス旅のスタートを予感させます。
車内の天井を染めるブルーは、1863年に建てられた加賀藩前田家の奥方御殿、成巽閣(せいそんかく)の「群青の間」がモチーフです。日本家屋に施されたとは思えないラピスブルーのような鮮やかな青色です。シートの赤と天井の青はこれまでにない空間を作り出しています。
お手洗いの入口の扉は、金箔をイメージした豪華絢爛な装飾が施されています。用もないのに、ついお手洗いに行きたくなるほどのアミューズメント感が扉から感じられます。
お披露目式では、カーテンが閉じられた状態でした。
車内によほどの秘密が隠されているのかと思ったのですが、実はカーテンまでもが特別仕様になっていました。加賀友禅をモチーフにした艶やかなデザインは、仲の良い夫婦を象徴するおしどりが描かれて、カップルで乗車するとさらに仲良くなれそうな縁起の良さが感じられます。
通常の運行ではカーテンは開かれた状態でお客様をお迎えするのですが、お披露目式では乗車時にカーテンの美しさをまず見てもらいたい、という意図から閉じられていました。ご乗車の際は、まず一度カーテンを閉じてみて、その美しさをご堪能ください。
グランドリーム号でお馴染みのクレイドルシートも、加賀友禅の赤を基調にした配色に染まり花嫁のれん仕様です。
心地良いシートとして定評のあるクレイドルシートに加えて、フットレスト、レッグレスト付き。新幹線のグリーン車クラスの設備と、リクライニング時の最大傾斜135度のシートは、観光バスとは思えないほど快適です。
うっかり見過ごしてしまいそうなナンバープレートにも、「花嫁のれん 第二章」こだわりが反映されていました。
「770」をつづけて読むと「ななお=七尾」。観光列車の「花嫁のれん」走るJR七尾線とこの地方、七尾にちなんだナンバープレートです。
快適なバス旅を提供する設備が充実しているのはもちろんのこと、乗客への1番のサービスはなんといっても安全性です。最新の安全設備であるドライバー異常時対応システム(EDSS)を搭載して、万が一運転士にトラブルが発生した場合でも、乗客がボタンを操作すれば安全に停車できます。
安全への配慮にも隙が無い、西日本JRバスの「花嫁のれん 第二章」です。
お披露目式の後は和倉温泉まで約90分の試乗体験をさせていただきました。
東京~京阪神間で利用する機会が多いグランドリーム号は、夜行バスなので外の景色を楽しむことができませんが、この日は和倉温泉までのクルージングでは目の前に広がる日本海の風景を楽しめました。
路線バスとしての定期運行がないのが残念ですが、北陸 金沢へ旅行された際にはぜひ貸切観光バスツアーで乗車体験をして欲しいと思います。
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(出雲義和)