関東バスの夜行バス「やまと号」乗車レポート! スカニア社製の2階建てバスで新宿~奈良間を移動した感想は?
新宿~奈良を直通! 夜行高速バス「やまと号」
今回のご紹介は、関東バスが運行する夜行高速バス「やまと号」。この路線の便利さも魅力ですが、何よりやまと号(関東バス担当便)の大きな特徴は、2021年12月から運行開始となったスウェーデン・スカニア社製の2階建て車両!
やまと号は、奈良交通と、路線によって関東バス・京成バスが共同運行する路線。「やまと」の名前の通り奈良を起点に、「奈良(奈良駅)~新宿線」(休止中/2022年10月執筆現在)、「奈良(五條)~新宿」、「奈良~横浜・京成上野・TDL」の3つの路線があります。
そのうち、今回ご紹介のスカニア社製2階建てバスが登場するのは、「奈良(五條)~新宿」路線の関東バス担当便。1日1便で毎日運行、乗車時間は最長で約9時間5分です。
やまと号は1階が4列シートで2階が3列独立シート
では、2階建てバスの車内をご紹介しますね。
やまと号は1階も2階も乗車可能、ただし座席タイプが異なります。1階は全席4列シートで、全部で8席。運転席とトイレは1階にあり、1階と2階を繋ぐ階段はバスの中ほどにあります。
1階の4列シートは、一般的な4列シートと比べるとかなりゆったり。ヘッドレスト部分が分厚いのもくつろぎやすくて嬉しいですね。フットレスト・レッグレストはありません。なお1階・2階席は料金が異なり、1階席は2階席料金から1,000円引きとなります。
そして、2階は全席が3列独立シート。全部で29席あります。
やまと号の3列独立シートは、ホールド感のしっかりしたリラックス仕様。背もたれのリクライニングが深く倒れる上に、リクライニングを倒すと座面が斜めに持ち上がるので、ゆったりと体を休められるのです。シートも柔らかすぎず硬すぎないふかふか加減でなんとも気持ちいい! レッグレストとフットレストはシームレスに続くタイプなので、足元までほっとくつろげます。
また、嬉しいのが背もたれのヘッド部分にある枕(ヘッドレスト)。ややカーブした頭の部分に枕があることで、バスの走行中も頭の位置が自然と安定するのです。体の安心感がぐんとアップしますよ!
1座席には1セットずつ、毛布と使い捨てスリッパが置いてあります。毛布はウール入りで、83×150cmの大判サイズ。座席脇には個別に使えるUSBポートがあります。
1階と2階の共通設備となるのが、無料Wi-Fiと車内モニター。特にバスに乗った後すぐに聞く車内案内や諸注意は、疲れているとうっかり聞き流してしまうことも多いもの。耳だけでなく目でも確かめられるのは嬉しいですね。
新宿~奈良の乗車記! 23:00 京王プラザホテル前から乗車
今回の乗車バス停は「京王プラザホテル前」。やまと号は、新宿ではこちらと「バスタ新宿」の2カ所から乗車できます。
「京王プラザホテル前」と「バスタ新宿」は、どちらも新宿駅から徒歩圏内。バスタ新宿はJR新宿駅南口のすぐ前、京王プラザホテルはJR新宿駅西口から徒歩約5分です。なので新宿駅からの距離で言えばバスタ新宿の方がより便利なのですが、今回私はたまたまその前の用事がどちらのバス停へ行くにも同じくらいの距離だったため、どちらから乗車しようか、ちと迷いました。
バスタ新宿の方は、バスターミナルなので案内表示がしっかりわかりやすそうだし、コンビニやトイレや待合所もあるけど、他のバスに乗車する人もいるからきっと混んでいる。京王プラザホテル前は、困ったときに頼れる係員さんがバス停に待機してくれてはいないけど、ホテルのトイレが借りられるからトイレが豪華。それにきっと空いている…。
悩んだ結果、今回は京王プラザホテル前から乗車することに決定!
京王プラザホテル前バス停では、バスはバス停の前に停車するわけではないとのこと。「バスが到着したら係員が誘導に伺いますので、バス停でお待ちください」と昼の内にバス会社からお電話をいただきました。
ので、バスが来るまでは「バスまでちょっと歩くのかな? バスタ新宿の方にすればよかったかな」とちょっとだけ後悔していたのですが…
23:00、バスが到着したのは京王プラザホテルすぐ前の道路! 入って来た様子がバス停から見えるし、乗務員さんが「やまと号へご乗車のお客様ですか?」と丁寧に迎えに来てくれるので、迷う心配は全然ありませんでした。かえって人が少ない中、きらびやかな京王プラザホテル前まで送迎に来てもらう感じがして、なんだかVIP感!
しかも乗車してみれば、バス車内は無人。京王プラザホテル前が始発バス停のため、先客がいない上に、こちらからの乗客で2階席を予約したのは私1人だったのです。京王プラザホテル前~バスタ新宿までの15分の間は、2階席が貸し切り気分! ぜいたく~!
しかも前にご紹介した通り、シートはふかふか・ラグジュアリー。
ゆったり足を伸ばして、柔らかな枕に頭を乗せ、靴をスリッパに履き替えてウール入り毛布にくるまれたら、もう完全に身体はリラックスモード!
京王プラザホテル前を発車し、次のバスタ新宿でも乗客を乗せたら、もう乗車バス停は終了。車内モニターを使って、案内や注意事項、休憩予定などがアナウンスされます。
更には「アナウンスの後には、乗務員が車内を一巡します。質問やご用事があればお申しつけください」とのこと。2階建てバスの2階は、走行中は基本的に乗客だけになるので、その分丁寧に確認してくれるんですね。
そのまま高速道路に乗ったら、バスは消灯。早速周囲から寝息が聞こえてきました。
夜間のトイレ休憩は1回!
やまと号はトイレ設備つき。なので夜間のトイレ休憩は1回です。通常夜行バスでは初回の休憩だけはアナウンスがあることが多いのですが、やまと号では初回からアナウンスはなく、車内が点灯してドアが開くのが休憩の合図。確かに車内に入りやすいトイレがあるなら、休憩は最低限でいいよなあ、なんて納得してしまいました。
この日の休憩は、静岡県のEXPASA足柄。深夜0:45頃に到着、1:00まで15分の休憩です。階段を下りていくと、入口前に出発時間の案内ボードが出ていました。
バスを降りて、バスカードを受け取ります。2階建てバスは出入口がバスの中ほどにあるため、SA/PAで降車する際に、すぐ目の前を車が通らないのが安心ですね。
休憩が終わったら、再び車内は消灯。シートでゆったりくつろいだら、このまま奈良へ一直線です。
ところで、休憩の後に気づいたことがありました。新宿の街を走っていたときも車内の揺れは少なかったのですが、更に高速道路を走行するときは、驚くほど車内が揺れないのです。2階建てバスの2階席は揺れが少ないというのは知っていたのですが、これほどとは…! 2階建てバス・2階席が本領発揮するのは、高速道路の走行中かもしれません。
うわー、すごい、これは体がめちゃめちゃラク! と感動しながら、とろとろっと眠りに落ちてしまいました。
7:00 奈良・大和八木駅に到着!
やまと号「新宿~奈良(五條)」の奈良側の最初の降車バス停は、5:42着の「大和高原山添」…のはずですが、私の乗車日はそちらで降車する予定の人がいなかったよう。「おはようございます」の控えめなアナウンスが流れたのは6:00頃、6:15着の「天理駅」到着前でした。
天理駅へは少し早めに到着したようで、時間調整のためバスはしばらく停車。その次の停車バス停は6:40着予定の「近鉄桜井駅」でした。どちらもアナウンスは細やかで、眠っている人を起こさない配慮が嬉しいところ。
そして私の目的地「大和八木駅」バス停へは7:00着。少し早まり、6:45頃に到着しましたよ。
運転手さん、ありがとうございました!
降車して一番の正直な感想は、「はー、よく寝た!」という感じ。3列独立シートの夜行バスには乗り慣れたつもりでいたのですが、2階建てバスだとこんなに体がラクだとは! やまと号、すごいです!
新宿~奈良間を直行できるバスは、それだけでとても便利。奈良には新幹線駅も空港もないため、東京から乗り換えなしで直行できるのは高速バスだけなのです。
さらに、これほど体がリラックスできるとは! これは「夜行バスって疲れるんじゃないの?」なんて敬遠している人にも、ぜひ一度試してほしい快適さです。移動疲れや負担を減らすことで、朝からめいっぱい奈良・東京を楽しめますよ。
どうぞ2階建てバス「やまと号」で、バス旅を楽しんでくださいね。
やまと号 奈良(五條)~新宿のバス便
※リンク先のバス便は2階建てバス以外のバス車両も含みます
(陽月よつか)