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2019年5月17日(金)、2019バステクフォーラムが大阪・舞洲スポーツアイランド「空の広場」にて開催されました!
バステクフォーラムとはバスの総合情報誌「バスラマ」が主催する、新型バスやバスに関する最新技術、最新バス機器や関連用品などを、実際に見て・触って・体験できるイベント。今回でちょうど10回目の開催となります。
このイベントのために揃ったバス車両は全部でなんと20台(展示車、実演車など全て含む)! 当日は「バスラマ」読者やバス事業者など、多くの人で賑わいました。
当日は晴天。青く広い空の下、「空の広場」にはバス車両が礼儀正しく一列に並び、さあどこからでも見て下さい触って下さいと言わんばかり。手前にはバス機器やバス用品など、バス関係の様々なブースが軒を連ねます。
各ブースの展示は自由に見てまわってOK。バスの内部機器からバス洗車用のカー用品まで、普段は滅多に見ることのないアイテムが説明つきで並びます。
実は私はバスの構造やら装置やらはまったくわからない機械オンチ。初めは「ドライブレコーダーとか安全装置とか、素人が見てもよくわからないんじゃ…」と敬遠していたのですが、意を決して覗いてみたらこれが結構面白い!
会場内では様々なオモシロ実演やツアーを開催。「バスの安全装置EDSSの実演」や「自動消火装置の実演」、バスの安全やより賢いAT車の運転操作をテーマにした「ワークショップセミナー」も。
バスの安全装置を実際に作動させる現場には断じて遭遇したくないけど、作動させたらどうなるのかは気になりますよね。「緊急事態はすっごく急なブレーキをかけるだろうから、身体に衝撃があるんじゃ?」「誤作動防止のためにすごく押しにく~い方式になっているのでは…」なんて疑いを持っていた私。もちろん体験させてもらいました。
体験してみるとこれが意外なほどスムーズ。乗客に負担のないほどの急ブレーキが、誤作動チェックもした上で、簡単確実に秒単位で作動! 緊急警報の中スッと軽やかにバスが停止するのは、ちょっとワクワクする体験でしたよ。最新技術ってすごい!
実際に各展示車両や展示ブースを訪れて説明を聞ける「見どころ紹介ツアー」もあり。インタビュー形式で、専門家以外にもわかりやすいよう説明してもらえるのが嬉しい。
本部ブースでは「バスラマ」バックナンバーがずらり。バス模型の販売もありましたよ。
それでは、実際に展示されていたバス全12車両を一気にご紹介!(順不同)
大阪シティバスの展示車は、2019年3月に初めて導入した新デザインの新車「いすゞエレガ」の中の1台。2018年4月1日に大阪市バスから完全民営化して以来、なんと37年ぶりに登場した新デザインです。
デザインは展示車を含め、全部で3種類。
2種類のブルーを基調とした車体は爽やかでシンプル。よく見ると青が何かの形を描いているような…?
実はこちらのバス、大阪市内では建物などの斜め上から走行中のバス車両を見ることも多いため、大阪シティバスのロゴマークを車体の上から掛けたようなデザインにしているのです!
西日本JRバスからは、2018年に西日本JRバスが30周年を迎えたことを記念して導入された、新デザインの昼行高速バス車両が登場!
バス車体を走る斜めのラインは「力強さ」と「スピード感」を意味し、JRバスのシンボルであるツバメが活き活きと飛んで「躍動感」を演出。
またカラーリングは西日本JRバス従来の車体カラーであるピンクとブルーを基調に、新たにレッドを差し色として追加。こちらはお客様に対する「情熱」を意味するそうですよ。Wi-Fi表示など端々には西日本JRバスのマスコット・キャラクター「にしばくん」も登場!
現代自動車ジャパンから出品展示されたのは、ヒュンダイ・ユニバースAT車。2018年に発売された、ユニバースの6速AT仕様車です。こちらのバスはドライバーと乗客、双方の快適性が高いのが特徴。
エンジンは排気量9.96リットルで最高出力430PSを発生。そのほか、衝突被害軽減ブレーキAEBS、車線逸脱警報装置LDWS、車両安定性制御装置VDCを標準搭載。
素人にはちょっと難しい説明でしたが…、とりあえず「衝突の被害が軽減するブレーキ」と「車線の逸脱への警報」と「車両の安全性を制御してくれる装置」がついているんだなと納得。安全性・快適性を重視したバスなのですね。
日野自動車から登場したのは、日野のセレガハイデッガーをベースにした、車いす乗降用のリフト付き車両。リフトは従来のようにバスの車体側面に沿って上下するタイプから一新し、リフト本体を床下に格納するタイプとなりました。
リフト本体を床下に格納することで、従来のものよりスペース効率が高くなり、車いす利用者も安全に乗降できるのが特徴です。またリフトは乗務員がリモコンで操作するので、人力操作による不安定さもなし。
リフトには、車いすがシートベルトに固定されるまでリモコン操作が反応しない、乗降時には入口のスロープ端が持ち上がって万一の落下を防止するなど、細かな安全性にも配慮されていますよ。
いすゞ自動車からの出品は、大型観光・高速バス用のガーラ。上品なピンクに銀色でロゴの入る車体は、ずらりと並ぶバスの中でも一際目を惹く優雅さです。
ガーラは12mハイデッガー、同スーパーハイデッガー、9mハイデッガーの3車型がラインナップされており、展示車は9リットルエンジンと7速AMTを組み合わせたハイデッガー。7速AMTは2018年に12m車に追加された自動変速機で、運転操作の軽減に寄与します。
三菱ふそうトラック・バス出品の1台目(順不同)は、三菱ふそうエアロエース エレベーター付仕様。ハイデッガー車「エアロエース」をベースに、車いす利用者がエレベーターで客席まで上がれるようにした、メーカー純正のバリアフリー対応車両です。
こちらは2018年秋に発売。2019年2月にはフロントマスクの一新と安全装備の強化が図られました。車いす利用者の乗降時間は片道約5分30秒。
リフトでの車いす乗降では、リフトで高く持ち上がる折の怖さや、悪天候時の使い難さ、リフトを出し入れするためのスペース確保などの問題がどうしてもつきもの。エレベーター付バスはそれらの問題点をクリアするバスなのです。
三菱ふそうトラック・バスの出品2台目は、三菱ふそうエアロクィーン。鮮烈な赤のカラーリングが印象的なスーパーハイデッカーです。
三菱ふそうエアロクィーンは、2019年2月にフロントマスクを一新。それとともに、ドライバー異常時対応システムEDSS、アクティブ・サイドガード・アシスト、衝突被害軽減ブレーキABA4など、最新の安全装備を搭載しています。
2017年に小排気量エンジン+8速AMTに一新した駆動系と相まって、エアロクィーンは新世代へのメジャーチェンジが完了したとのことですよ。
三菱ふそうトラック・バスの出品3台目は、三菱ふそうローザ。実は三菱ふそうローザは、日本の小型バスのネーミングでは最も古い歴史を持ちます。
ローザは2018年10月、現行の5代目が誕生以来初の大幅なフェイスリフトが行われ、異形2灯式ヘッドランプを持つ印象的な顔立ちとなりました。
ボディサイズは標準的なロングボディのほか、ショートとスーパーロングもあり。クラス唯一の4WDの設定も特徴です。
全国13のバス事業者で構成される「東京バスグループ」の一員である大阪バス。展示車は市街地路線の布施八尾線などに使用されている、店員36名の小型ノンステップバスです。
同型車は小柄なぶん機動性に優れ、全国のコミュニティバスや狭隘路線(きょうあいろせん/バス路線の中でもとりわけ狭い道路を走行する路線のこと)などで大活躍していますよ。
こちらは車体ではなく、内装を提案する展示車です。丸菱工業の出品で、メインとなるのは内部のシートカバー。自分の好きなデザインや絵柄でオーダーできる、フリーデザイン・シートカバーです。
こちらのフリーデザイン・シートカバーは、2019年5月から先行予約受付が開始となる新サービス。自動車シートメーカーとプリント機器メーカーが共同開発を行なった専用インクを使用することで、耐久性が高く高品質なプリントが可能となっています。
写真やイラスト、QRコードなど、様々な絵柄のプリントが可能。車内のイメージチェンジや広告利用ができるとともに、シートの保護にも役立ちますよ。
ふそう車の二次架装を主体とするエムビーエムサービスからは、店員18名のハイグレード小型車。こちらもベースの車体は三菱ふそうローザです。
こちらは車の内部に、天龍工業製の特別仕様シート、LED式ラインライト、LED式間接照明、シャープ製モニター(AQUOS)、後方荷物室に高さ調節可能な中間棚などを備えた仕様。高級感のある提案車となっており、少人数貸切などに適しています。
中京車体工業からの出品は、日野リエッセⅡをベースに多機能に仕上げた二次架装車。「マルチユース」のタイトルの通り、様々なパターンに対応できる機能が盛り込まれています。
マイクロバスの内部には、シートの一部を取り外すことでシートピッチを拡大、或いは荷物スペースに充てるなど、様々なアイデアが盛り込まれています。多機能スペースが増えることで使用用途がぐっと広がるのですね。
中京車体工業は、日野リエッセⅡを始め、小型バスの改造に対して数多くの経験と実績を持ち、様々なニーズに対応できる技術を備えているのです。
バスの祭典・バステクフォーラム。最新型バスに最新技術、普段は見られないトランクの奥から車いす乗車時の乗降用リモコンまで、説明つきで実際に、見て・触って・体験できるイベントでした。
最新情報ももちろんながら、普段はできないことを色々試せるのがこのイベントの大きな魅力。例えば、バスの緊急用ボタンを押してみる、車いすで乗車してみる、運転席に座ってみる…ぜーんぶバステクフォーラムで試せますよ!
バステクフォーラムは毎年開催しているイベント。気になったらぜひ訪れて、体験してみてくださいね。
(陽月よつか)