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毎日300本以上の高速バスが運行されている東京~関西間。安さで勝負するバスから、豪華さで勝負するバス、所要時間で勝負するバスまで、数多くの高速バスが運行されています。
毎日300本以上となると、どのバスを選んだらよいのか、正直迷ってしまいますよね。
その中から、今回は南海ウィングバス南部が運行する和歌山・なんば~東京線「サザンクロス和歌山号」をご紹介。高速バスの運行で実績のあるバス会社の安心感と、ライバルに引けを取らない充実した車内設備が売りの夜行バスです。乗車してみた様子や感想をレポートします!
始発である南海和歌山市駅に到着したのは、「サザンクロス和歌山号」発車時刻の1時間ほど前でした。
私が南海和歌山市駅に初めて降り立ったのは、今から数年前のこと。当時は、茶色の大きな駅ビルがそびえ立っていたのですが、現在は駅ビルの改築工事の真っ最中で、その姿を見ることはできません。
南海和歌山市駅の新しい駅舎は、2020年に完成する予定になっています。
新宿・東京行き「サザンクロス和歌山号」は、南海和歌山市駅を出ると目の前にあるバスターミナル0番のりばから発車します。
「高速バス」と書かれた看板をめざすとわかりやすいでしょう。
近くで食事をしようかと思いましたが、見つかったのはバスターミナル向かいの居酒屋とセブン-イレブンくらい。結局、匂いの少ない軽食類(パン)と飲み物をセブン-イレブンで購入して、バスの中で済ますことにしました。
「サザンクロス和歌山号」の南海和歌山市駅発車時刻は21:00。発車時刻3分前に入線し、乗車改札を手早く行ないます。
和歌山・大阪なんば~東京線「サザンクロス和歌山号」は、南海グループの南海ウィングバス南部と御坊南海バスの2社が共同で運行しています。なかでも「サザンクロス」は実績のある高速バスのブランド。
南海グループのバス会社が運行しており、安心して利用できます。
では、早速乗車してみましょう。
車内には、幅広で座り心地の良い3列シートが並びます。最後部まで一人掛けになっているのも特長のひとつです。
通常、3列シートの高速バスでは、座席と通路を仕切るカーテンが窓側座席にのみ装備されていますが、このバスは、なんと通路側の座席にもカーテンを装備。周りを気にせずに休めると、特に女性客から好評だそうです。
シートは可動式枕・レッグレスト・フットレスト(足置き台)を装備。
リクライニングの角度も深く、ゆったりと休むことができます。
もちろん、各座席にはコンセントも完備。携帯電話やスマートフォンの充電に便利です。
写真はありませんが、車内中央部にはトイレも完備。サービスエリアでの休憩停車はありますが、万が一というときに嬉しい設備です。
アメニティも充実しています。各座席にはブランケットが備えられているほか、シートポケットには使い捨てスリッパが入っています。
大きな手荷物は床下のトランクへ預けましょう。荷物を預けると、写真の荷物引換券が手渡されます。降車時に必要ですので、なくさないように大切に保管しておきましょう。
シートポケットにはこのような案内が。
「サザンクロス和歌山号」の運行について記したリーフレットです。持ち帰ることはできませんが、停車停留所や運行距離、休憩場所などが詳細に記してあります。
このような案内をバスの出入口付近に提示されているケースはいくつか見てきましたが、各座席のシートポケットに入れてあるのは、「サザンクロス」ならでは。乗客へのちょっとした配慮ではありますが、バス会社に対する信頼は高まりますね。
残念ながらWi-Fiサービスは提供されていませんが、夜行バスに必要な装備は全て揃っており、3列シートの夜行バスの中でもグレードは高いという印象を受けました。
定刻21:00に南海和歌山市駅を発車したバスは、山手通りなどを経由してJR和歌山駅へと向かいます。
JR和歌山駅ののりばは、バスターミナルがある西口ではなく、反対側の東口になりますので、乗車の際は注意しましょう。こちらで5名の乗客を乗せ、総勢10名ほどの乗客を乗せたバスは、定刻21:15にJR和歌山駅を発車します。
車内を見回してみると、20代~30代の乗客が目立ちます。とかく夜行バスといえば、若者が利用する乗り物というイメージが強いですが、このバスに関しては若干年齢層が上の印象を受けます。
大手私鉄系のバス会社が運行していることへの安心感で選んでいる乗客も多いのではないでしょうか。
発車後、自動放送にて各種案内が行なわれたあと、乗務員から簡単な補足説明があり、その後前方のカーテンが閉められます。
21:23、バスは和歌山インターから阪和自動車道に入り、この先の乗車停留所である和泉中央駅、そして大阪なんば地区へと向かいます。
阪和自動車道を走行すること25分ほどで、岸和田和泉インターで阪和自動車道とはいったんお別れ。泉北地区のターミナル駅のひとつでもある、泉北高速鉄道 和泉中央駅に立ち寄ります。
和泉中央駅付近には、住宅地や商業施設の他に大学や研究所などもあり、駅周辺は賑やかです。泉北高速鉄道沿線の方は、こちらから乗車すると便利です。
「サザンクロス和歌山号」は、和泉中央駅のバスターミナル5番のりばから発車します。
和泉中央駅で乗客1名を乗せたバスは、岸和田和泉インターから再び阪和自動車道へ。松原ジャンクションから阪神高速14号松原線、阪神高速1号環状線を経由し、22:40に湊町バスターミナル(なんばOCAT)に到着します。こちらで乗車扱いを行なったあと、7分ほどでバスは南海なんば高速バスターミナルへ。
南海なんば高速バスターミナルは、2017年(平成29年)4月にリニューアルしたばかり。インフォメーション機能と待合室を兼ねた南海高速バスセンターが併設されており、快適な環境でバスを待つことができます。
なんば高速バスターミナルで発車を待つ「サザンクロス和歌山号」です。(乗務員の許可を得た上で撮影しております。)
スイスホテル南海大阪の街灯に照らし出される「サザンクロス」の車体、美しいですね。
なお、南海なんば高速バスターミナルの周辺は、南海のほか、近鉄や阪神、大阪メトロ、JRの駅などが集中する一大ターミナルエリアとなっています。
「サザンクロス和歌山号」は、湊町バスターミナル(なんばOCAT)、南海なんば高速バスターミナルのどちらからでも乗車できますが、JR大和路線(JR難波駅)及び大阪メトロ四ツ橋線から乗り換える場合は、湊町バスターミナル(なんばOCAT)から乗車、それ以外の鉄道線から乗り換える場合は、南海なんば高速バスターミナルから乗車、というように使い分けるとよいでしょう。
湊町バスターミナル(なんばOCAT)、なんば高速バスターミナルへのアクセスについては、こちらの記事が参考になります。
23:00定刻に、バスはなんば高速バスターミナルを発車。
発車後、改めて自動放送にて各種案内が行なわれたあと、乗務員から簡単な補足説明があり、23:10に車内は消灯されます。
このバスにはトイレが付いているために、途中の休憩は消灯前の1カ所のみとなっています。休憩場所は、なんば高速バスターミナルから1時間ほど走行した、滋賀県の名神高速道路草津パーキングエリア。
こちらでは00:05から15分停車しました。
消灯後ということもあってか、車内では到着時の案内放送が流れません。
休憩で外に出る場合は、乗務員から発車時刻を確認した上で降りることになりますので、乗務員から告げられる発車時間を守り、それまでには必ずバスに戻るようにしましょう。
休憩時には、休憩札を乗務員が渡してくれます。
ナンバープレートの番号が入っているので、これを頼りにすれば間違いなくバスに戻ってくることができます。バスに戻った際は乗務員が休憩札を回収しますので、紛失しないようにしましょう。
サービスエリアにはトイレはもちろん、飲食店や売店があります。停車時間が短いため、飲食店で食事というわけにはいきませんが、発車すると翌朝到着まで下車できませんので、トイレや洗顔、買い物はこちらで済ませておきましょう。
草津パーキングエリアを発車すると、バス車内はふたたび消灯されます。
通路のカーテンを閉めてシートを倒すといつしか夢の中へ。途中、2度の乗務員交代時に目を覚ましましたが、ぐっすりと眠ることができ、目覚めも爽快です。
翌朝、窓のカーテンを開けると、バスは首都高速道路を東京都心へ向けて走行していました。
05:30に室内灯が灯され起床。
その10分後の05:40に、バスは最初の降車停留所である池尻大橋に到着します。こちらは降車専用の停留所となっており、乗車することはできませんが、東急田園都市線への乗り換えには便利な停留所です。
05:59にバスタ新宿で数名の乗客を降ろし、交通量の少ない都心の道路を走行したバスは、定刻よりも30分以上早い06:21に東京駅日本橋口に到着しました。
東京駅の構内や周辺には、コンビニや飲食店が充実しているほか、サウナ(男性専用)やネットカフェなどもあります。朝食や到着後のひと休みに困ることはないでしょう。
私は、乗務員からトランクに預けた荷物を受け取ったあと、早朝より予定があったことから、電車で次なる目的地へと向かうのでありました。
大阪~東京間の高速バスの場合、シートや車内設備などにより異なりますが、「夜行バス比較なび」調べでは、片道運賃が1,700円~20,000円と様々です。
そんな中、和歌山・なんば~東京線「サザンクロス和歌山号」は、和歌山~東京間が片道6,900円~10,000円、なんば~東京間が片道5,760円~9,000円となっています。
※2018年5月調べ
さらに、この路線には「学割運賃」が設定されており、和歌山~東京間を片道最安6,800円、なんば~東京間を片道5,760円で利用できます。
新幹線「のぞみ」の東京~新大阪間の片道が13,620円(普通運賃+新幹線特急料金)、東京~和歌山間の片道が14,960円(普通運賃+新幹線特急料金)ですので、全席カーテン・コンセント付きの3列独立シート車で、新幹線の約6割以下の運賃で移動できることを考えると、コストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
なお、週末や繁忙期は混み合いますので、利用する際は早めのご予約・ご購入をおすすめします。
今回は和歌山から東京駅まで利用しましたが、平日に利用したということもあり、事前購入割引とネット割引の併用により片道7,640円で移動できました。
バス自体も、ゆったりとしたシートと充実した車内設備のおかげで、道中ぐっすり眠ることができる快適性。南海の夜行高速バス「サザンクロス」は、昔から車内サービスの良さに定評がありますが、全席通路カーテンや座席コンセントなど、利用者からの要望が多い車内サービスは、Wi-Fiを除いて全てそろっているといってもよいでしょう。
大阪難波~東京間約8時間という所要時間も見逃せません。
他社路線は京都を経由する便が多く、その分時間がかかってしまいますが、この路線は大阪難波~東京間を直行しますので、同区間をできるだけ早く移動したいという方にもおすすめです。
「充実した車内設備で、ゆったり寝ながら移動したい」「大阪難波~東京間を夜行で早く移動したい」という方には最適なバスではないでしょうか。
(須田浩司)