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2017年に多く登場し話題となった「豪華バス」。そのシートの多くは、70年の豊富な開発経験と高い技術を誇る天龍工業株式会社(以下、天龍工業)が造っています。
豪華バスのシートが誕生したエピソードや苦労したポイントなど、天龍工業のお仕事についてインタビューしました。
お答えいただいたのは、常務取締役シート事業部 五藤幸洋さん、第2営業部部長 三谷忠司さん、技術部第2開発グループ グループ長課長 杉山善多佳さんです。
天龍工業株式会社? 名前だけではいったいどんな会社かわからないこの会社。
実は、高速バスを利用した人なら誰もが触れている、バスの座席シートを造っている日本一のメーカーなのです。
本社工場は25年前に設立し、2009年に現在の天龍ホールディング株式会社から分社しました。
天龍ホールディング株式会社は8つのグループ会社ですが、主に天龍工業株式会社・天龍エアロコンポーネント株式会社・天龍コンポジット株式会社からなります。
●天龍エアロコンポーネント株式会社
…航空関連の事業として、プランニングから組み立てまで行ない、航空機の隔壁からJALのファーストクラスのシートなども造っています。
●天龍コンポジット株式会社
…少し専門的ですがFRP(fiberglass reinforced plastics)繊維強化プラスチックで、鉄道車両(新幹線N700系)のパネルや天井、洗面所ユニットなどの製造を手がけています。
――ということは高速バスのシートだけでなく、広く日本の輸送全てに関わっている会社ということですね。
そのほかWillerの「コクーン」「リボーン」に採用されているシートは、シート以外のシェルも開発することとなり試行錯誤した数が多かったため、思いもひとしおです。
――70年以上バスシートの開発に携わってきた天龍工業ですが、近年ニーズになにか変化はありましたか?
三谷さん 高度成長期は、一度にたくさんの人を運ぶ時代でした。
その後は、広くて大きなシートを求められるようになり、現在は高級感があり様々なサービス(快適なリクライニングやコンセントなど)、必要なものが揃っているシートを求められる傾向にあります。
運賃の安さが特徴の高速バスですが、高級志向に変化してきているといえますね。
――天龍工業として1番嬉しいのはどんな事でしょうか?
三谷さん 私たちが造ったシートに乗車してもらい、バスの車内で快適な時間を過ごしてもらうことです。そんなユーザー様の声はバス会社(発注先)を通じて、次のシートの開発に活かされていきます。
常にその時代に求められるシートを造り続けることが、天龍工業の使命であり喜びですね。
――最後にバスとりっぷの読者にサプライズのお話はありませんか?
三谷さん あまり大きな声では言えませんが、豪華バスのニーズはまだまだあります。これから登場する新型バスとシートにもぜひ期待してください。
――2018年以降も、私たちが驚くようなバスが登場するかもしれない、と言うことですね。今日は長い時間ありがとうございました。
安全で快適なシート造りのためには、綿密な打合せと試験に想像以上の時間を費やすのだと知りました。
天龍工業が造る夢のあるバスシートは、これからも私たちを驚かせてくれそうです。