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鹿児島から沖縄まで、飛行機なら1時間20分。それを約1日かけて船で移動するのは、忙しい現代人にとってはとても贅沢な旅です。
せっかくなのでゆっくり流れる船の時間を味わおう……。
そう思いながら、鹿児島中央駅から市電に乗って、沖縄行きのフェリーターミナルへ向かいました。
着いたのは、桜島行きのフェリー乗り場である「鹿児島本港」。
と、ここでトラブル発生! ターミナルを間違えてしまいました。
鹿児島の港は、桜島、種子島、沖縄……など、行先によって4つのフェリーターミナルがあるそうです。
乗る予定のフェリー「クイーンコーラル8」が出発する「鹿児島新港」は、本港から約2.5km。出港時間が迫っていたので、停まっていたタクシーに乗り込み、「鹿児島新港」へ急ぎました。
後から調べたら、クイーンコーラル8の出航時間に合わせ、鹿児島中央駅から16時30分発の(鹿児島新港16時50分着)「鹿児島新港ポートライナー」というバスがありました。
何とかフェリーの出発に間に合いました。
鹿児島新港ターミナルに入ると、まずは2階へ向かいます。航送申込書に記入して受付で乗船券を購入。(※乗船券は下船の際に必要になるので降りるまで失くさないように。)
鹿児島新港から沖縄の本部港までの基本料金は13,680円、那覇港までが14,610円。
寝台や部屋を利用する場合は、金額が加算されていきます。ちなみに、二等寝台で6,000円の加算になります。
乗船券を手に入れたら、3階の待合室へ。パノラマの桜島が待っていました。
ここに売店がいくつかあるので飲み物やお土産を購入することができます。私はデッキで出航を祝うための缶ビールを一本購入しました。
出発1時間前に乗船開始。フェリーに目を向けると、リフトで積み込み作業の真っただ中。
その光景を見ながら、長い乗降通路を歩いて乗船口に向かいます。乗降通路の長さから、いかに船が大きいかが実感できます。
貴重品は案内所で預かってもらえるので、荷物がなければ部屋は二等室でもいいかもしれません。
私は一眼レフのカメラなど機材も多かったので、寝台(6,000円~)を選びました。
係員に乗船券を見せると、部屋とベッドの番号を案内してくれます。
「船って揺れるんだよなぁ」と心配していましたが、技術は日進月歩なんですね。クイーンコーラル8は横揺れ防止装置(フィンスタビライザー)を搭載しているので、船酔いしがちな私も今回はよく眠れました。
それでも心配な方は、念のため乗船前に酔い止めを。
船の設備を、ざっと確認してみます。
レストランや売店の他にカップラーメンや飲み物が購入できる自販機もあり、また給湯器や給水機もあるので、食べ物の選択肢は豊富。
テレビは窓のある休憩所かレストランで見ることができ、スロットやUFOキャッチャーを備えたゲームコーナーもあります。
また、2階の階段近くではWiFiが利用可能です。
船内には、男女別のシャワールームもあります。
ただ、石鹸やシャンプーはないため、使いたい場合は持ち込みが必要。私は大好きなボディシャンプーのミニボトルを持って乗り込みました。
ドライヤーもあるのですが、船旅らしくデッキで自然乾燥にしました。
船メシ(船内の食事)は大きな楽しみの一つ。
ただ、レストランの営業時間は夕食、朝食、昼食それぞれ30分程度と短いので気をつけてください。アナウンスが何度も流れますけどね。
レストランは、入口の食券機で食券を購入し、厨房につながったカウンターに出すシステム。学食や社食に近い感じでしょうか。
ソーキそばもあるので(夕食時のみ)、一足先に沖縄料理を味わうのもいいかもしれません。
レストランの営業時間外でも、席は自由に使うことができます。
窓際の席で海を眺めながら、乗船時に持ち込んだ弁当や自販機で購入したカップラーメンを食べるのもいいものです。
売店の営業時間は、出発からしばらくの時間と、4つの島に停泊後のわずかな時間のみ。
ちょくちょく覗いていれば、開いている時間に遭遇します。船旅はそれくらいゆるい気持ちで過ごしましょう。
売店では弁当やおにぎりを購入することもでき、特におにぎりは温かくておいしいのでおすすめ。
また、奄美大島の黒糖焼酎や徳之島のみそ豆など、寄港する島の特産品も販売しているので要チェックです。
夕暮れ時、または夜空の星を見ながら、デッキでつまみながらお酒を一杯、朝日を見ながらコーヒーをすするなど、夢のような時間を楽しむことができますよ。
食事とシャワー、睡眠の時間以外は、ほとんどの時間をデッキで過ごしたと思います。それくらい魅力的な時間が流れていました。
今までの人生の中で様々な場所で海も星空も朝日も見てきましたが、これほど時間をかけてゆっくり眺めていたことはなかったように思います。デッキの上で過ごした時間は一生忘れないでしょう。
船は奄美大島、徳之島、沖永良部島、与論島の順で立ち寄り、それぞれの島で30分程度停泊します。
途中下船することはできませんが、積み下ろしなどの様子を眺めながら、その島の人々の暮らしを想像するのも楽しい時間です。
鹿児島新港から約23時間。ついに沖縄は本部港へ到着。
乗船券は降りる際、下船券として回収されるので大切にしておきましょう。失くすと行方不明者扱いになり、関係省庁に迷惑をかけてしまうそうです。
今回の船旅で、ゆっくり物事を考える時間を取り戻すことができました。
さぁて、本部港旅客待合所を出て、道路の対面にあるバス停から名護方面に向かうとします。
以上、いくつものトラブルを乗り越えながら、無事0泊5日で北海道から沖縄まで縦断することができました。
実際にやってみて、快適さやコスパはどうだったのか? 度重なる夜行バスでの移動を快適に乗り切るコツは?
など、次回以降の番外編で紹介していきます。