12日、13日の山の天気 富士山の全登山口で山開き 雲海の可能性あり
富士山では山梨県側に続いて、きのう静岡県側でも開山し、本格的な夏山シーズンを迎えました。あすからは5合目にある4つの登山口すべてから入山できる最初の週末です。今週末はオホーツク海高気圧から吹き出す気流の影響で北日本や東日本の太平洋側で雲海の見られる山岳がある見込みです。一方、日本のすぐ南の海では熱帯低気圧が発生しやすくなっており、熱帯由来の湿った空気の影響を受けて雨が降りやすい山域もあるでしょう。
●衛星画像 オホーツク海高気圧が出現して梅雨らしい状況
まず雲の様子を見てみましょう。10日夜、関東甲信地方に大雨を降らせた梅雨前線は関東の南から東に停滞しています。一方、北海道の北にある高マークはオホーツク海高気圧です。オホーツク海高気圧は冷たい空気をためこんでおり、東北の日本海側や関東地方には20℃から25℃くらいの冷たい北東風が吹き付けています。この冷たい北東気流は低い雲を発生させやすいため、東北地方や関東地方では雲が多くなっていますが、よく見ると脊梁山脈を境にして日本海側は晴れています。太平洋側に広がっている雲の高さはせいぜい1500mとか2000mくらいまでで、2000m以上の脊梁山脈を超えることができず、高い山の山頂から見ると雲海になっていると考えられます。オホーツク海高気圧の出現時は雲海が発生する可能性があるため、登山計画を立てる際に考慮しておくと役立ちます。
一方日本の南の海上に目を向けると、熱帯低気圧や低圧部に伴う対流雲がたくさん発生しています。日本の南には非常に湿った空気が広がっており、西日本の太平洋側は湿った空気の影響を受けやすくなっています。
●予想天気図 土曜日朝は雲海のところも 南から湿った空気拡大
では予想天気図を詳しく見てみましょう。
12日(土)は北海道の北にあった高気圧ははるか東に移動してしまいますが、北海道や日本海には等圧線が突き出していて「気圧の尾根」となっています。高気圧の勢力がまだ残っていることを意味します。このため北日本と東日本の太平洋側には冷たい北東気流が流れ込み続けて、雲海を発生させる可能性があります。安達太良山、那須岳、谷川岳、富士山、北岳といった太平洋側に開けた山はのきなみ曇りの予報になっていますが、上空には乾燥空気が広がる予想なので標高2000m以上まで登ってくると山頂部が雲から抜けて雲海が見られる可能性もありそうです。湿った北東気流が届かない日本海側の山では晴れる山岳が多い見込みです。四国と九州は湿った空気の影響を受けやすく、剣山と九重山は雨の予報です。
13日(日)は北側の高気圧の勢力がなくなり、北高型が解消します。一方、南から流れ込んでくる湿った空気は影響する範囲が拡大する予想です。晴れる山岳が多いですが、大気の状態が不安定になるため東日本と西日本の山を中心に、大規模ではないものの午後は雨の降るところがあるでしょう。立山と富士山、伯耆大山に雨のマークがついています。不安定による雨なので、雨のマークがついていない山岳でも天気の変化に注意が必要です。四国と九州は湿った空気が流れ込み続けて、剣山と九重山は雨の予報です。