東京都心を含む関東で 10日夕方から線状降水帯発生の可能性 災害級の大雨のおそれ
今日10日(木)の夕方から夜のはじめ頃にかけて、関東地方で線状降水帯が発生し、大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があります。土砂災害や浸水害、河川の氾濫等に厳重に警戒してください。
●今日夕方以降に線状降水帯発生の可能性
気象庁は10日9時40分、大雨と雷及び突風に関する関東甲信地方気象情報を発表しました。茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京地方では、10日夕方から夜のはじめ頃には、線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があります。
線状降水帯が発生する原因は梅雨前線と湿った空気によるものです。午前6時現在、東北南部から関東北部付近にかかっている梅雨前線がこのあと今夜にかけてゆっくりと関東南部に南下する見通しです。この前線に向かって高気圧の縁を回って流れ込む暖かく湿った空気と、日中の昇温によって大気の状態が非常に不安定になる見込みです。前線の動きがゆっくりなため、同じような所で雨雲や雷雲が湧き続けるでしょう。線状降水帯が発生した場合には災害の危険度が急激に高まります。特に、お帰りの時間帯と重なります。可能ならば早めに帰宅するなど安全を確保する行動をとるようにしてください。
なお、関東地方では昨年8月31日~9月1日かけて、今回と同様の線状降水帯発生の可能性に関する情報が発表されていて、この時は発生はありませんでしたが3時間に100ミリを超えるような大雨の降った地域がありました。今回も線状降水帯が発生しなくても警報級の大雨になる可能性は高いため、警戒を続けてください。
●予想される雨量
明日11日の正午までの24時間に予想される雨量は多い所で
栃木県 200ミリ
東京都・茨城県・群馬県・埼玉県・千葉県 150ミリ
神奈川県 100ミリ
ただ、線状降水帯が発生した場合はこの予想より大幅に増える可能性があります。
都市部で大雨が降ると地下鉄などの地下に降った雨が流れ込んだり、排水が追い付かず内水氾濫を起こることがこれまでにもたびたびありました。避難する際には十分にご注意ください。
●線状降水帯のしくみ
線状降水帯が発生するしくみ(メカニズム)の代表的なものに「バックビルディング現象」があります。これは、風上で次々と発生した雨雲が、発達しながら風に乗って同じような場所に流れ込み、線状の強雨域が形成されるものです。
※発生メカニズムに未解明な点も多く、全ての線状降水帯が同じようなメカニズムになるとは限りません。
線状降水帯が発生すると、同じような場所で顕著な大雨が続くことから、甚大な災害が発生する恐れがあります。線状降水帯による大雨に対して、2つのことに気をつける必要があります。
1つめは、線状降水帯は、数時間にわたって猛烈な雨が降り続くため、雨が弱まってから避難しようと思っても、避難のタイミングを逃す恐れがあります。「まだ大丈夫」と油断しないで、雨がひどくなる前、できれば外が明るいうちに、安全な所へ避難してください。あまりにも雨が強くて、避難場所へ行くのが、かえって危険な場合は、家の中の上の階にとどまったり、斜面から離れた部屋に移ったりするのも、選択肢の一つです。
2つめは、現在では、線状降水帯の発生する時間や場所を、正確に予測するのは難しいということです。いざ線状降水帯が発生した時には、すでに危険が迫っています。そんな中、避難にむけて、適切な判断をするには、できるだけ情報を収集することが大切です。スマートフォンが見られる状況であれば、雨雲レーダーなどを確認して、避難してください。
●内水氾濫とは
内水氾濫とは、市街地に降った大雨が地表にあふれて起こる浸水被害です。アスファルトなどで大部分が舗装されている都市部などで発生しやすいとされています。
大きな川の水が堤防を越えてあふれ出す「外水氾濫」とは区別され、「内水氾濫」は下水道や用水路の排水能力を超える雨が降ったり、排水先の河川(本流)の水位が高くなったりして、行き場を失った雨水が市街地にあふれ出る災害です。川や用水路から水があふれ出すだけではなく、マンホールから水が吹き出すこともあります。
「外水氾濫」に比べ、「内水氾濫」は一般的に浸水の度合いが浅いという傾向がありますが、短時間で被害が発生し、川から離れた地域でも浸水が起きるとされています。
内水氾濫が起きやすい地域については、自治体がハザードマップにまとめている場合があります。日頃から自分の住んでいる地域のリスクを把握するようにしましょう。
また、大雨時には、テレビ、ラジオ、インターネットなどで最新の気象情報、災害情報、避難情報に注意し、危険を感じたら、早めに避難しましょう。氾濫した水の流れは、勢いが強く、歩くのが困難な場合があります。その場合は、緊急避難として、高い頑丈な建物にとどまることも選択肢の一つです。