動きが遅い台風10号は、中心に近い九州・四国・中国地方だけでなく、東海・関東など離れた所にも災害に繋がる大雨をもたらしています。台風10号はこのあともほとんど速度を上げず、土日から場合によっては週明けにかけて、影響が長期化しそうです。記録的な大雨によって、西日本・東日本を中心に大規模な災害がどこで発生してもおかしくない状況が続きます。土砂災害、河川の氾濫、浸水などに厳重な警戒が必要です。

●動きが遅い台風10号 影響長期化 熱帯低気圧に変わっても警戒

台風10号は今日30日(金)11時の時点で大分県の国東市付近にあり、時速15 kmで北東に進んでいると見られます。このあとも時速15km(自転車並み)以下とあまり速度を上げず、明日31日(土)から明後日1日(日)、場合によっては週明け2日(月)ごろにかけても大雨となりやすい状態が長期化する恐れがあります。
明後日1日(日)9時までには熱帯低気圧に変わる見込みですが、これは風が弱まり、最大風速がおよそ17m/s(34kt)以上という、台風の風の強さの定義に当てはまらなくなるだけ。台風が熱帯から持ち込んできた非常に湿った空気は日本列島に居座り、大雨となりやすい状態が続きます。今後、台風が熱帯低気圧に変わっても決して安心することなく、特に大雨に対しては警戒を続けるようにしてください。

●今後予想される雨の量

西日本や東日本では明日31日(土)にかけて、局地的に雷を伴った非常に激しい雨や猛烈な雨が降る見込みです。また、その後も台風周辺や太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気が流れ込むため、2日(月)ごろにかけて総雨量が多くなる所があるでしょう。

今日30日(金)12時から明日31日(土)12時までに予想される24時間降水量は多い所で、
関東甲信地方 150ミリ
東海地方   300ミリ
近畿地方   300ミリ
中国地方   150ミリ
四国地方   300ミリ
九州北部地方 100ミリ
九州南部   100ミリ

その後、明日31日(土)12時から明後日1日(日)12時までに予想される24時間降水量は多い所で、
北陸地方   150ミリ
関東甲信地方 150ミリ
東海地方   400ミリ
近畿地方   200ミリ
中国地方   120ミリ
四国地方   150ミリ

その後、明後日1日(日)12時から2日(月)12時までに予想される24時間降水量は多い所で、
北陸地方   200ミリ
関東甲信地方 150ミリ
東海地方   200ミリ
近畿地方   150ミリ

線状降水帯が発生した場合は、局地的にさらに雨量が増えるおそれがあります。
線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性のある地域と期間は以下の通りです。

四国地方
徳島県、香川県、愛媛県、高知県 明日31日(土)午前中にかけて

近畿地方
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 今日30日(金)夜から明日31日(土)午前中にかけて

東海地方
岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 今日30日(金)夜から明日31日(土)午前中にかけて

●非常に激しい雨・猛烈な雨とは?

「非常に激しい雨」は、1時間雨量が50ミリ以上~80ミリ未満の雨を表しています。これは、滝のように降る雨で、ゴーゴーと降り続くイメージです。また、傘は全く役にたたないレベルで、木造住宅の屋内では、寝ている人の半数くらいが雨に気づくほどです。外では水しぶきで、あたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなるため、車の運転は危険です。

さらに80ミリ以上の雨は、「猛烈な雨」と表現されます。これは、息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じるくらいです。こちらも車の運転は危険で、場合によっては短い時間で浸水が発生し、車内に閉じ込められる可能性もあります。

いずれの雨が降った場合も、災害の危険性がかなり高まります。こうした雨が台風の周辺、さらに台風から離れた所でも発生しやすい状態が長期にわたって続きます。短時間の大雨、さらに総雨量の増加による大規模災害の発生に厳重な警戒が必要です。

●台風の大雨 避難するには

今回の台風では、西日本・東日本の広い範囲でかなりの大雨が予想されています。大雨災害時に避難するには、ポイントが2つあります。

1つめは、早めの避難を心掛けることです。特に、お年寄りや障害のある方など、避難に時間のかかる方がいらっしゃる場合は、大雨になってしまう前に、行動してください。また、夜中に大雨が予想される場合は、なるべく明るいうちに、避難所など安全な所へ避難することが重要です。

2つめは、より安全な所へ避難することです。これまで、土砂災害の多くは、木造家屋の1階で被害にあっています。すでに雨が強まっている、浸水が始まっているなど、どうしても避難場所への移動が困難な場合は、近くの頑丈な建物の2階以上へ移るのも、選択肢の一つです。家の中に留まる場合も、斜面から離れた部屋や、2階以上の部屋へ移ってください。

万が一、土石流が発生した場合は、土砂の流れる方向に対して直角に、できるだけ高い所へ避難することが、命を守ることにつながります。

情報提供元: tenki.jp日直予報士