台風5号が横断中の東北地方では、岩手県を中心に2日間で8月1か月分の降水量の2倍以上の大雨となっている所も。明日13日にかけても台風の動きが遅く、雨量は更に増える見込みで、冠水被害などが広がる恐れも。今夜は日本海側でも雨が強まる。夜間にできる備えは。

●岩手県で記録的大雨 危険な場所には絶対に近づかない

台風5号は今日12日午前8時半ごろ、岩手県大船渡市に上陸した後、時速15~20キロくらいのゆっくりとした速度で東北を横断中です。
台風本体の雨雲は東北沿岸部より内陸部へとやや西へ移りつつありますが、海からの湿った風は吹きつけて、太平洋側では雨量が増え続けています。

午後2時40分までの48時間降水量は、岩手県久慈市下戸鎖で477.5ミリとなり、8月1か月分相当の2倍以上の大雨が一気に降っています。大槌町では308.0ミリ、久慈市山形では281.0ミリと、1か月分の降水量を大幅に超える記録的な大雨となっています。

午後3時現在、久慈市と大槌町、岩泉町では土砂災害の危険が高まっていて「土砂災害警戒情報」が発表されています。
また、久慈市を流れる長内川のほか、以下の河川で氾濫の危険性が非常に高い「氾濫危険水位」を超えています。
岩泉町を流れる小本川
葛巻町を流れる馬淵川
山田町を流れる関口川
宮古市を流れる津軽石川

災害発生のリスクが高まっている所がありますので、雨が一時的に弱まっても、川のそばや崖の近くには絶対に近づかないでください。

●東北日本海側は夜間の大雨警戒 太平洋側も雨量更に増える

台風5号は、徐々に勢力を弱めながら東北地方を横断し、明日13日までに日本海に進んで動きが遅くなり、熱帯低気圧に変わる見込みです。
記録的な大雨となっている岩手県の太平洋側では、雨が弱まっても一時的で、明日13日明け方にかけて活発な雨雲がかかりやすい状態が続くでしょう。土砂災害や浸水害などに引き続き十分に警戒してください。

日本海側にも台風本体の雨雲の一部がかかり始め、今日12日夕方から次第に雨の降り方が強まりそうです。秋田県を中心に雨量が増える見込みで、大雨のエリアがさらに広がる恐れがあります。暗い時間帯になりますが、雨に加えて、沿岸では急に風が強まる所もあるでしょう。夜間も備えが必要です。

●夜間の大雨 とるべき対応は

台風5号の動きが遅いため、東北では今夜も大雨が続く見込みです。
今夜も実際に大雨が発生したら、適切な対応ができるよう、事前に確認しておくことが大切です。安全を確保するために以下の点に注意してください。
①河川や用水路には絶対に近づかないでください。普段は流れの遅い河川や用水路でも、大雨によって水かさが増したり、流れが速くなったりします。暗い時間帯は特に、増水した用水路は道路との境目が分からなくなっていて、足を取られるおそれがあります。

②夜の大雨の中の運転は危険ですので、できる限り控え、アンダーパスなど低い道路は必ず避けるようにしてください。低い道路には雨水が流れ込みやすいため、すぐに冠水してしまうおそれがあります。車が水没して故障したり、水圧によって、ドアが開かなくなったりして、車内に取り残されると、非常に危険です。無理をして通らず迂回するなどの対応をとってください。

③山などの急な斜面はいつ崩れるか分からないため、決して近づかずかないようにしましょう。眠る場所も斜面とは反対側にしてください。夜の間も、土砂災害警戒情報や大雨警報の危険度分布を細かく確認して、状況を常に把握するようにしましょう。

④上流にダムのある河川の近くに住んでいる場合は、ダムの水位情報を確認するようにしましょう。大雨が長時間にわたって降り続くと、ダムは決壊を防ぐために放流を始める場合があります、岩手県は久慈市の滝ダムの水位が上がっているため、午前10時23分に下流の「長内川」に緊急放流を始めました。午後2時現在、久慈市を流れる長内川など、氾濫の危険性が非常に高い「氾濫危険水位」を超えている所があります。

●新たな台風7号が発生予想 週後半に本州接近か

日本付近には、台風5号のほかに、台風6号があり、そして、今後台風7号に発達する予想の熱帯低気圧があります。

台風5号は13日までに日本海に進んで動きが遅くなり、熱帯低気圧に変わる見込みです。
その後も14日にかけて、北日本を中心に、台風から変わった熱帯低気圧の影響が長引くおそれがあります。北海道でも風が強まり、波の高い状態が続くため、注意が必要です。

また、台風6号は日本の東を北西に進みますが、14日ごろには熱帯低気圧に変わるでしょう。
そして、注意をしたいのが日本の南海上の熱帯低気圧です。この熱帯低気圧は、今後24時間以内に台風に発達する見込みです。台風となれば台風7号となります。
まだ予報円が広く進路が定まっていませんが、今週後半に、台風は本州に接近する恐れがあります。移動の多い時期に重なるため、今後の進路に厳重に警戒してください。影響がある際は、早めに備えてください。

情報提供元: tenki.jp日直予報士