気象庁はきょう11日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。今後、ラニーニャ現象は終息に向かい、冬の終わりには平常の状態となる可能性が高く、春はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高くなっています。

●12 月の実況

12月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は−0.7℃で、基準値より低い値でした。ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の10月の値は−0.8℃で、14か月連続して−0.5℃以下となりました(ラニーニャ現象の基準は6か月以上)。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部から中部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、2021年秋からラニーニャ現象が続いています。

●今後の見通し

今後、ラニーニャ現象は終息に向かい、冬の終わりには平常の状態となる可能性が高く(70%)、春はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高くなっています(80%)。 実況で太平洋赤道域の中部にみられる海洋表層の暖水は東進し、東部の海面水温を上昇させるとみられます。大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後上昇し、冬の終わりには基準値に近い値になると予測しています。その後、春は基準値に近い値か基準値より高い値で推移すると予測されていますが、予測の不確実性は大きくなっています。以上のことから、今後、ラニーニャ現象は終息に向かい、冬の終わりには平常の状態となる可能性が高く(70%)、春はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高くなっています(80%)。

●ラニーニャ現象とは?

「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。

「ラニーニャ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。

「ラニーニャ現象」発生時の日本は、梅雨は西日本で、夏は沖縄・奄美で雨量が多い傾向です。また、冬は西から寒気が流れ込みやすいと言われています。

情報提供元: tenki.jp日直予報士