富山県南西部の南砺市にある「世界遺産 相倉合掌造り集落」です。まさに日本の原風景と呼ぶに相応しく、一面銀世界になる冬は格別。積雪は平年で2mに達し、それを超えると大雪と言われるそうです。市街地で短時間のドカ雪になると、雪は厄介者のレッテルを貼られがちです。一方、この相倉には、雪が私たちに多大なる恩恵ももたらす側面があることに気付かせてくれる何かがありそうです。
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●12/29までの北陸平均の7日毎の平均気温や降雪の状況

12/29までの北陸地方の平均気温や降雪量の7日毎の変化をみてみます。

師走の声を聞いてから、本州付近は顕著な負の北極振動に転じ、北から寒気が流れ込みやすくなりました。この結果、北陸地方の平均気温は、12月中旬頃から平年より低い傾向に変わり、対応して降雪量も平年比を上回りました。特に、12/17~12/24には平年比が700%を超え、新潟県柏崎市の国道8号線では大規模な立ち往生が発生しました。

こうしたことから、北陸平均でみれば、12月の平均気温は平年並みか低く降雪量は平年並みか多くなる傾向です。

●「降雪は強い寒気と降水の産物」 強い寒気だけでは大雪にならない事例

全国的には日本海側や北陸は「厳しい寒さで大雪」が声高に報道されています。

ところが、地点別の累積降雪量(11/1~12/29)の平年比を見てみると状況は異なります。柏崎で396%、金沢で245%と平年よりかなり多い傾向である一方、敦賀は11%、小浜はまさかの0%で大雪どこ吹く風、魚津は67%、関山は31%、湯沢は49%で平年より少ない傾向となっています。

12月に入り負の北極振動が顕著となり、強い寒気が断続的に流れ込みました。気圧配置は、西廻りで寒気が流れ込む冬型となり、上空の風が西南西~南西の風となりやすい里雪型となることが多くなりました。このため、福井の嶺南や富山の東部、新潟の上越・中越の山沿いには雪雲が流れ込みにくい状況が続きました。

これらの地点では「ラニーニャで寒冬だから大雪」の理屈は通用せず、現時点での北陸地方は「ラニーニャで寒冬大雪傾向だが所により少雪」となっている状況です。「降雪は強い寒気と降水の産物」です。降水量を決めるJPCZ(風向)の動向がどうなるかも重要な条件となっています。

●気象台発表の最新の1か月予報 特に1週目の12/31~1/6の平均気温は平年並か低い

12/29、新潟地方気象台より、北陸西部の福井・石川・富山と北陸東部の新潟の4県を対象とした「北陸地方の向こう1か月の天候の見通し」が発表されました。そのポイントは、「期間のはじめは寒気の影響を受けやすいため、1週目の気温は平年並か低い見込み。」ということです。

年明け早々には新春寒波となる見込みです。その後の2週目以降も平均気温は平年並やほぼ平年並とは言え、1年で最も寒い期間にさしかかります。体調管理や短期的な大雪には引き続き十分注意して下さい。

●1/2からは新春寒波 強い寒気が強弱を付ながら断続的に流れ込む 4日の仕事始め頃や9日成人の日頃にも大雪のおそれ

このあと元日にかけては、寒気はやや緩み北陸西部を中心に平野部は雨が主体の天気となる見込みです。

ただ、2日以降は上空約1500メートルより下層を中心に強い寒気が強弱を付けながら流れ込むでしょう。年明け以降は、上空の風の流れから山雪型になる日が多くなりそうです。新潟の中・上越の山沿いでは大雪に警戒が必要です。この方面を走行するドライバーの方は、最新の気象情報や道路情報を入手して立ち往生の先頭車両にならないよう十分な対策をして下さい。ひとたび立ち往生が発生するとご自身はもとより、除雪や緊急車両の走行の妨げにもなり、最悪な負の連鎖につながりかねません。冬用タイヤやオールシーズンタイヤの車両でも、大型車両を中心に状況をみて早めにタイヤチェーンの装着をしましょう。

新春寒波では山雪型となることが多くなりそうですが、平地でも安心はできません。平地では大雪にはならない可能性がありますが、下層中心に断続的に強い寒気が南下する予想となっています。路面温度が低い状態が続きやすく、路面の凍結による転倒や車両のスリップ事故のリスクが新雪路面を走行するよりも高くなりそうです。十分に注意して下さい。

●「ラニーニャ現象」は、今後冬の終わりにかけて終息に向かうも 過去には「エルニーニョ年」や「平常年」でも大雪あり

大雪の目安を判断する一つの指標として、日降雪量が「10センチ以上」「15センチ以上」「20センチ以上」の日数が一冬に何日あったかを、北陸4地点の福井・金沢・富山・高田で調べました。

その結果、「10センチ以上」「15センチ以上」「20センチ以上」の全てのカテゴリーで、「ラニーニャ年」「エルニーニョ年」「平常年」が含まれていました。このことは、一般に暖冬傾向と言われる「エルニーニョ年」や「平常年」であっても、①負の北極振動が強化されて強い寒気が南下し(参考URL)、 ②JPCZなど風向の条件が揃い強雪域がかかれば、大雪になることを示しています。

長期予報は極めて有益ですがそれだけで十分ではありません。実際の寒気やJPCZ(風向)の動向については、直前まで見極めが必要だということです。

情報提供元: tenki.jp日直予報士