7月は台風の発生がなかった一方で、長い期間、豪雨に見舞われ、梅雨明けが遅れています。さて、今後の暑さはどうなるのでしょうか?



●7月に台風発生なし 観測史上初


今年の台風発生は、5月に1個、6月に1個の計2個で、7月はありませんでした(31日15時まで)。7月に台風の発生がないのは、1951年の観測開始以来、初めてです。ただ、現在(7月末)は、南シナ海からフィリピンの東にかけて、対流活動が活発な周期にあたっており、発達した雲も見られます。31日15時には、台風の卵とも呼ばれる、熱帯低気圧が発生し、今後、新たな熱帯低気圧の発生も予想されています。アメリカ海洋大気庁の資料によると、8月4日にかけて、この海域で熱帯低気圧は発達する可能性が高くなっています。


●令和2年7月豪雨


7月は、梅雨前線が本州付近に停滞する日が続きました。

特に3日から11日を中心に、梅雨前線が同じような場所に長い時間停滞したことに加え、前線に向かって東シナ海から大量の水蒸気が流れ込みました。このため、九州から東海、甲信を中心に発達した雨雲がかかり、4日は、熊本県と鹿児島県で、夜に線状降水帯が発生しました。比較可能な全国964のアメダス地点を対象として、7月上旬に観測した降水量の総雨量(降水量の総和:208,308.0ミリ、1地点あたり:216.1ミリ)、及び1時間雨量50ミリ以上の発生回数(82回)は、旬ごとの値として1982年以降で最も多くなりました。気象庁は、3日からの豪雨に対して、「令和2年7月豪雨」と名称を定めました。

7月下旬は、オホーツク海に中心を持つ高気圧が南へ張り出しを強め、東北付近に停滞する梅雨前線の活動が活発になりました。北陸や東北南部の日本海側でも雨量が多くなり、24時間降水量の日最大値は、山形県鶴岡市荒沢で226.5ミリ(28日16時10分まで)、西川町大井沢で224.0ミリ(28日18時50分まで)を観測。たった1日で平年7月の8割から9割の雨量になりました。

令和2年7月豪雨は、31日も続いており、平成30年7月豪雨の11日間をはるかに超える長期間となっています。3日から31日15時までの降水量の合計値は、長野県御嶽山や高知県馬路村魚梁瀬で2000ミリを超え、いずれも平年7月のおよそ3倍で、魚梁瀬では平年のおよそ半分の雨量になっています。


●記録的な日照不足と低温


7月1日から30日までの日照時間の合計は、九州北部から東北南部で、平年の60%以下の所が多くなりました。東京都心は44.5時間で、データが残る1891年以降、7月として月間日照時間の少ない方から2位以内に入る少なさとなる見込みです。

最高気温は、九州や四国を中心に35℃くらい上がるような日があったものの、7月1日から30日までの平均気温は、九州から東北で、平年より低い所が多くなりました。

今年は、8月に入るまでに、例年ほど暑さに慣れていないことになります。


●記録的に遅い梅雨明け


奄美地方では、20日に梅雨明けの発表があり、統計開始以来、最も遅くなりました。

夏の太平洋高気圧は、28日になってようやく西日本付近に張り出しを強め、28日は九州南部、30日は九州北部、四国、中国、31日は近畿で、梅雨明けの発表がありました。いずれの地域も、統計開始以来、遅い方から3番目から5番目です。

※梅雨は季節現象であり、梅雨の入り明けには、平均的に5日間程度の「移り変わり」の期間があります。なお、梅雨入りの発表は速報値で、春から夏にかけての天候経過を考慮して再検討され、見直されることがあります。また、梅雨明けは1993年など特定しない年もあります。


●関東甲信など梅雨明けはいつ?


夏の太平洋高気圧は、8月に入ると、次第に東日本付近にも張り出すでしょう。東海や北陸、関東甲信、東北も、順次梅雨明けの発表があるかもしれません。ただ、太平洋高気圧の勢力が東日本付近で強まるということがないため、早速晴れる日が続くということはなさそうです。今後の天気の見通しは、まだ難しい状況です。最新の気象情報をご確認下さい。

ちなみに、関東甲信の梅雨明けは、データが残る1951年以降、最も遅かったのは1982年の8月4日ごろ、次いで1998年と2003年の8月2日ごろですので、記録的な遅さになります。


情報提供元: tenki.jp日直予報士