19日、気象庁は、令和元年に顕著な災害をもたらした台風について、台風第15号については「令和元年房総半島台風」、台風第19号については「令和元年東日本台風」と名称を定めました。



●「令和元年房総半島台風」「令和元年東日本台風」の概要


気象庁は、令和元年に顕著な災害をもたらした台風について、台風第15号については「令和元年房総半島台風」、台風第19号については「令和元年東日本台風」と名称を定めました。

「令和元年房総半島台風」

9月5日に発生した台風15号は、9日午前3時前に三浦半島付近を通過して東京湾を進み、午前5時前に千葉市付近に強い勢力で上陸しました。千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを観測するなど、千葉県内のアメダス観測点の約7割の地点で観測史上1位の値を更新し、各地で記録的な暴風となりました。また、羽田空港でも観測史上1位となる最大瞬間風速43.7メートルを観測。この台風の影響で千葉県を中心に大規模な停電が発生し、93万戸以上が被害を受けました。さらに、停電により通信設備が使えない地域も多く発生し、被害状況の把握にも時間がかかりました。建物被害も相次ぎ、約4万2000棟の建物が損壊し、ビニールハウスなどの農業用施設も大きな被害を受けました。大規模な停電は長期化し、夏の暑さが残る被災地は大きく混乱しました。

「令和元年東日本台風」

10月6日に発生した台風19号は急速に発達して猛烈な台風となり、その後も勢力をあまり弱めることなく、日本列島に接近しました。12日午後7時前に大型で強い勢力のまま伊豆半島に上陸した後、関東から東北地方を通過しました。台風本体の発達した雨雲や台風周辺の湿った空気の影響で、静岡県や新潟県、関東甲信・東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、史上最多の13都県に大雨特別警報が発表されました。神奈川県箱根町では、12日の日降水量が全国の観測史上1位となる922.5ミリを観測し、10日からの総降水量1000ミリを超えました。台風による大雨の影響で、千曲川や阿武隈川の堤防が決壊するなど、多くの河川で氾濫し、土砂災害や浸水害も発生するなど、列島に深い傷跡を残しました。また、新幹線車両基地の水没したり、橋梁が崩壊したりするなど、甚大な災害となりました。


●名称を定める基準


気象庁では、顕著な災害を起こした自然現象について名称を定めることとなっています。名称を定めることにより、防災関係機関等による災害発生後の応急・復旧活動の円滑化を図るとともに、当該災害における経験や貴重な教訓を後世に伝承することを期待されるためです。また、各地域で独自に定められた災害やそれをもたらした自然現象の名称についても、後世への伝承の観点から利用し普及を図ることとされています。

台風で名称が定められる基準は「顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合」とされています。


●これまでに名称を定められた気象現象


気象庁が名称を定めた台風は上の表のように「洞爺丸台風(昭和29年9月(台風第15号))」や「狩野川台風(昭和33年9月(台風第22号))」、「伊勢湾台風(昭和34年9月(台風第15号))」など10個あります。近年は豪雨に対して命名されることが多く、今回、命名された「令和元年房総半島台風」「令和元年東日本台風」以前は「沖永良部台風(昭和52年9月(台風第9号))」まで遡ります。


情報提供元: tenki.jp日直予報士