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●8月の実況
11日(月)、気象庁はエルニーニョ監視速報を発表しました。8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近い値で、基準値との差は-0.2度でした。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年よりかなり高く、中部から東部にかけて平年より低くなりました。海洋表層の水温は、中部から東部にかけて平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年並で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いていることを示しています。
●今後の見通し
エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が秋から冬にかけて基準値より低い値となる時期があるものの、長くは続かないと予測しています。以上のことから、秋または冬にラニーニャ現象が発生する可能性(40%)もありますが、平常の状態が続く可能性の方が60 %と高い見込みです。
●エルニーニョ現象/ラニーニャ現象
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生します。ひとたびエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられています。
エルニーニョ現象が発生すると、太平洋赤道域の東部の海面水温が上昇する一方で、太平洋熱帯域の西部では海面水温が低下して対流活動が不活発になります。このため、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱くなり、日本の夏の天候は「低温」「多雨」「寡照(日照時間が少ない)」といった傾向になります。一方、ラニーニャ現象が発生すると、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、日本では気温が高くなる傾向にあります。ラニーニャ現象が発生した2010年は、「今年の漢字」第一位に「暑」が選ばれるほど、記録的な暑さになりました。
【定義】
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の 基準値との差の 5か月移動平均値が6か月以上続けて +0.5度以上となった場合を「エルニーニョ現象」、−0.5度以下となった場合を「ラニーニャ現象」と定義しています。