【里崎智也】2つの考え方があったソフトバンクの7回1死三塁…上沢に代打かどうか難しい場面
<日本シリーズ:DeNA1-3ソフトバンク>◇第1戦◇24日◇横浜
試合の分岐点がどこに来るのか、そこに注目していた。DeNAからすれば、阪神とのCSファイナルをほうふつとさせる展開となった。つまり、投手戦に持ち込むことに勝機を見いだす。
乱打戦がDeNAの持ち味と思われがちだが、このポストシーズンを見る限り、先発がしっかり試合を作ることを念頭に、じつに堅実な試合運びをしている。この試合でも、先発石田裕が低めに丁寧に投げて7回途中まで1失点に抑える。
片やソフトバンクはシーズンでも得点機を数多く作ってきた7回に貴重な先制点を奪う。これは下位打線からでも得点できるソフトバンクならではの得点の奪い方で、3巡目に仕留めるという強みが発揮された。
無死二、三塁で庄子の二ゴロに、牧原大が見事なスタート。ゴロゴーだったが、まるでギャンブルスタートかと思えるくらいの完璧なスタート。シーズン中の評論でも何度も触れてきたが、こうした細かいところが実に安定して再現できる。これが、ソフトバンクの巧みな得点能力と言えるだろう。
先制してなおも1死三塁。ここで打席に上沢。私はここがひとつの分岐点になったと感じた。ここは、二つの考え方がある。6回まで77球で無失点の上沢を引っ張る考え方と、代打で2点目を取りに行く考え方だろう。ソフトバンクの救援陣は防御率も安定しており、非常に強力なスタッフをそろえている。そこを考えれば、上沢に代打を送ったとしても、守り抜くことはできる、そういう勝算の見いだし方もあったはずだ。
ベンチは上沢をそのまま打席に送り、2点目は奪えなかった。そして、2番手松本裕が牧に一時同点に追いつかれる本塁打を8回裏2死から浴びることになる。試合はこのまま延長戦に入るのだが、私の目には7回の上沢に代打を送るかどうか、ここが非常に難しい場面だったと感じる。
DeNAは梶原、林、戸柱と2024年を経験してきた左打者を並べ、味方には安心感を、そしてソフトバンクには嫌な思い出とともにプレッシャーを与える打線を組んできた。打力で重圧を与えようという側面から、3位からの下克上再びのムードを醸し出そうという狙いが感じられた。(日刊スポーツ評論家)