【鳥谷敬】佐藤輝明の代役がいない阪神 来季はドラ1立石正広を三塁で使い続ける我慢が必要かも
阪神が激震の秋を迎えている。球団史上初のセ・リーグ2連覇を果たしながら、クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージでは初戦から4連敗で終戦。
その直後、球団は主砲・佐藤輝明内野手(27)について今オフのポスティングシステム使用を容認することを発表した。虎はなぜ敗れたのか? 来季の課題は? 日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(45)が独自の視点で分析した。
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2027年、阪神のサードは誰が守るのでしょうか? 現時点での理想を言えば、もちろん昨秋ドラフト1位の立石選手がファーストチョイスになるのでしょう。ただ、立石選手は現状、まだ「計算できる選手」にはなっていません。ここにタイガースの誤算があるのではないでしょうか。
阪神はCSファイナルステージでウィークポイントを露呈しました。佐藤輝選手、森下選手がコンディション不良でラインアップから外れると、途端に打線の迫力を失ってしまったのです。もちろん、NPBトップクラスの打者2人と同レベルの代役などいません。それにしても、「2人が出られないときに試してみたい」と思えるプレーヤーが少なかった事実は否定しようがありません。絶対的主力の代役がいない-。来季はこの現実をなんとか打破していかなければなりません。
阪神打線は近年、1番の近本選手から中野選手、森下選手、佐藤輝選手、大山選手までの5人が不動に近い存在でした。絶対的主力が5人もいるところに強さがあったわけですが、すでに佐藤輝選手と森下選手は近い将来のメジャー挑戦を希望している立場でもありました。本来であれば今季のうちに5人の代役を1人でも2人でも作っておきたいところでした。
立石選手にしても、左翼で1軍の打席に立たせ続けるか、もしくは2軍でひたすら三塁手として鍛え続けるか、このどちらかで来季1軍でフル稼働させるための準備を整えたかったのが本音ではないでしょうか。ただ、チームは今季リーグ2連覇を達成した一方で、シーズン最終盤まで巨人と優勝争いを続けました。立石選手の1年間を育成に充てるだけの余裕がなかったのが実情です。ここに12球団屈指の人気球団であり、目の前の勝利を決して無下にはできない阪神で選手を育成する難しさがあります。
ですが、どんな選手にもいずれ衰えはやってきます。さらに言えば、チームを優勝に導けるレベルの一流選手はメジャーに流出してしまう可能性が大きい時代でもあります。だからこそ、阪神は絶対的主力がまだ4人残っているうちに、次世代の核となる選手を育てておきたいところです。この作業を本格化させておけば、仮に4人に負傷離脱などの有事の際も代役を用意できます。
投手陣では今季、リリーフ陣に工藤投手、木下投手という新星が台頭しました。ファイナルステージの最終戦ではこの2人にルーキーの神宮投手も含めた3人がイニングまたぎで起用されました。負けたら終戦というゲームを託せる若手投手を3人も作れた事実は本当に驚くべきこと。そして、今度はこの流れを野手陣にも持ち込みたいところです。
選手は調子の良しあしで試合に出たり出なかったりしている間はなかなか責任を背負いきれないものです。打てなくてもエラーしても使われ続けることで責任感が強まり、レギュラーに成長していくケースが多く、いきなり活躍してくれた佐藤輝選手や森下選手はあくまで例外に過ぎません。そう考えれば来季は極端な話、たとえ打率が1割台に低迷する時期があっても立石選手を三塁で使い続けるぐらいの我慢、割り切りが必要なシーズンになるのかもしれません。(日刊スポーツ評論家)