【写真】ブルワーズ対ドジャース 力投するドジャース先発山本由伸(撮影・垰建太)

<Yu’s Eye>

【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)12日(日本時間13日)】元オリックス、巨人の鈴木優氏(29)が、日刊スポーツ特任記者として「Yu‘s Eye」で、ドジャース山本由伸投手(28)を支える「チーム由伸」の思いに迫った。ブルワーズ戦に先発した山本は微妙なゾーンへの球がボール判定となる中、ABSをめぐる判断がスミス捕手と合わないなど、リズムに乗れないまま2回2/3を3失点と悔しい結果になった。だが、同じ轍(てつ)は踏まない。山本と、とりまく人々の結束力で逆境をはね返す。

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由伸は敗戦を見届け、静かにダッグアウトから階段を降りて行った。「まだ見返せてないので、細かいことは分からないですけど、3回は乗り切りたかった。うまく決めきれなかった」。納得のいかない投球に、会見場での言葉は少なかった。

それでも敗因を丁寧に拾う姿にらしさが見えた。「スプリットが決められてなかったので他の球で打ち取れるようにいきました。粘り切りたかったんですけど、最後はうまくいかなかった」。冷静に分析し、悪い登板を続けない。必ず次で挽回(ばんかい)するのが強みだ。

それは、一人で作られたものではない。チームで唯一、2年連続で先発ローテーションを守り抜き、ポストシーズンでも勝負強さを発揮してきた裏側には、献身的に支える人たちの存在がある。

園田芳大通訳は特別な思いをこう語る。「由伸くんのためならなんでもしたいです。自分ができることなんてそんなにないかもしれませんが、本当に応援したくなる最高の人です。由伸くんにつけて本当に幸せです」。通訳という立場を越えた言葉だ。地区シリーズ第3戦、ブレーブスとの大一番の後には裏話も明かしてくれた。「2日前くらいから(集中のゾーンに)入ってましたね。もちろんそんなことはないんですけど、機嫌悪いかなと思ってしまうくらいです。見ているこちらの心臓がもたないくらい緊張しました。でも彼は何回もこういうのを乗り越えてきてますからね」。今回の降板にも信頼は揺るがない。「もう一度、絶対大事なところで回ってきますからね。やってくれますよ」。

日本時代から共に戦ってきた個人トレーナーの矢田修氏は、由伸の完成像はもっともっと先にあると見る。「まだ上がっていくと思います。理想の半分にきたくらいですから。今年も素晴らしいですが、来年は皆さんさらに驚くと思いますよ」。ワールドシリーズMVPに輝いた投手が、まだ半分。長年見続けてきたからこそ言える。

叱ったことはあるかと問うと、首を横に振った。「彼を叱ったことはないです。厳しいことを要求する時も、優しい言葉で導く感じで。責任感があるから、怒らなくても勝手に判断してやってくれます。とっても良い孫って感じですよ」。厳しさではなく信頼で動く関係。そこに「チーム由伸」の空気が表れている。

アリゾナ州での春キャンプ中、由伸主催のバーベキューに招かれたことがある。集まったのは矢田氏をはじめ、日頃お世話になっているスタッフたち。由伸は率先して火の準備をし、始まってからも大勢の来客が楽しめるよう絶えず気を配っていた。その時の言葉が忘れられない。「いつもお世話になっているので今日は楽しんで欲しいんです。またこのメンバーで優勝した後に喜びたいし、おいしいご飯食べたいじゃないですか」。愛される理由の全てだと肌で感じた。

「次はホームに戻るので、何とか追いついて勝ち越せるよう4勝とれるようしっかり準備したい」。この日の悔しさを糧にまた準備を始める。その背中を「チーム由伸」が支えていく。由伸の秋はまだ終わらない。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 山本由伸は必ず次で挽回するのが強み 支えるスタッフも信頼に揺るぎなし/Yu’s Eye  」