【緒方耕一】日本ハム7回の攻撃は“新庄野球”の真骨頂 余力残しファイナルステージへ
<パ・CSファーストステージ:西武1-4日本ハム>◇第3戦◇12日◇ベルーナドーム
日本ハムの新庄監督にとって、思い描いていた以上の戦いができたのではないか。2回に7番に起用した野村のタイムリーで先制点を奪い、4回には万波のソロ。5回には犠牲フライで1点を追加。そしてダメ押しの得点を挙げた7回は“新庄野球”の真骨頂だと思わせる攻撃だった。
2点リードで迎えた1死三塁のチャンスだった。三塁走者は俊足の水野が代走に出ていて、打者は9番の山縣だった。少し野球を知っている人なら、誰もが「スクイズがあるかも」と警戒する。ここが狙い目だった。
投手の篠原は右投手で、三塁走者の動きはよく見える。ここで水野は小さめのリードから早めのスタートを切るふりをした。そして打者の山縣も少し早めに大げさな動きでバントの構えをした。スクイズを警戒している中で、みえみえのスクイズ。篠原もスクイズを仕掛けてきたと思っただろう。
水野と山縣の動きが早かったため、対応できる時間ができた。バットの届かないところへ外したが、外角に大きく外した152キロの真っすぐに捕手の小島は反応できなかった。暴投となって試合を決める1点が入った。
100%の確率で間違いではないと言わない。しかしスクイズなら山縣はバットを引かないだろう。暴投になるまで計算はしていなかっただろう、おそらくスクイズを警戒してボール球を投げさせるためのサインプレーだったと思う。1ボールになれば本当のスクイズも出しやすくなるし、バッテリーは2ボールにしたくないという意識が強くなる。山縣がバットに当てられる確率も上がる。そうした狙いがあったサインプレーだったと思う。
もちろん、勝利の最大の功労者は先発の伊藤だった。途中で2度もベンチに戻って治療する場面があったが、5回を1失点。4回1死一塁、走者は滝沢だがクイックで投げ急がずに打者に集中していた。滝沢は13盗塁しているが、失敗も9個ある。この場面では走ってこないと考えていたのだろう。5回1死二、三塁からは外崎に四球を与えたが、無理に勝負をするというより、四球でもいいから長打だけは打たれないようなピッチングだった。クレバーな投球で最少失点の1点だけに抑えた。
2位の西武を破り、CSファーストステージを突破した。どちらが勝つにせよ、2連勝で突破をしないと2勝分のアドバンテージがあるソフトバンクに勝つのは難しい。それでも初戦に先発した有原は5回63球で、2戦目の達は6回89球でマウンドを降りている。アクシデントはあったにせよ、伊藤も5回68球だった。相性は悪いが、余力は残っている。ひと泡吹かせるような展開を期待し、盛り上げてほしい。(日刊スポーツ評論家)