【写真】ベルーナドームの近く「トトロの森」にある道なき道(撮影・金子真仁)

パ・リーグ2位の西武は10日、本拠地ベルーナドームに3位日本ハムを迎えてのCSファーストステージに臨む。本拠地でのCS開催は7年ぶり。対外的にも“何かと言われがちな”球場の本質は、どこにあるのか。勝負の日、朝9時台、西武担当記者がベルーナドーム周辺を歩いた。

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西武球場前駅の1つ手前、下山口駅で降りる。住宅街は静かで、駅から離れるほど畑が増える。40デシベルの静寂を打ち消すのは野鳥のさえずり。一気に60デシベルに上がる。

羽田慎之介投手(22)の母校でもある所沢市立荒幡小学校を通り過ぎ、西武園ゴルフ場の横まで行くともう、本格的に森だ。ゴルフ場の池には子亀が泳いでいる。道路横の小川にはたまに巨大にもほどがあるカエルが暮らしているが、この日は会えなかった。

革靴で歩くたびにバリバリ響く。無数のドングリが落ちている。クモの巣の大きさも数メートルから10メートルを超えるものも。「荒幡の富士」と呼ばれる小山に登ったころには、いい感じで汗をかいている。ベルーナドームの白い屋根も見える。

暑い-。有象無象のメディアや動画や、あるいは球界関係者が、ベルーナドームの暑さに触れる。球場と屋根の間の外壁がないから暑い。でも暑いのはとうに分かりきったこと。暑いなら、球団もチームもファンも「事前準備」すればいいだけの話。AIも発達し、世の中があまりに便利になりすぎている。ラクをすることに社会が偏っていないかと常々感じる。

西武本拠地のある丘には、まだまだ手つかずの自然が残っている。時折聞こえる自然開発の音もその証拠だ。一帯は「トトロの森」とも呼ばれる。人が大勢住む場所ではないけれど、逆に言えば「自然の中に選手もファンも集まる」のがベルーナドームだ。プロ野球=非日常の興奮、と考えれば、これ以上のホームグラウンドではない。

トトロの森には、グーグルマップにも載らない道なき道がある。草地を歩くと革靴にたっぷり朝露が付き、そうして足元に気を取られていたら、頭上のクモの巣に2度、絡まれた。このあたりはあまりに静かだから、試合中にこのあたりを歩きながら耳を澄ましたら、中村剛也内野手(43)の応援歌のメロディーが聞こえたこともある。

東京23区の大半の区が、ほんの4~5年前よりも人口を増やした。人口一極化はどんどん進む。だからこそ、ライオンズが表現するものも価値が高まっていく。勝利の雄たけびは響くか。何デシベルの絶叫であろうと、懐深い森が受け止めてくれる。【西武担当・金子真仁】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【西武】CS開催ベルーナドームへの道には道なき道も 巨大カエル、カメ、ドングリ…至高の非日常 」