【ヤクルト】石川雅規が思いを聞きたかった“恩人”川端理広トレーナーが明かした秘話/独占手記
ヤクルト石川雅規投手(46)の引退試合に際し、川端理広トレーナー(52)が日刊スポーツに特別手記を寄せた。新人の02年から戦闘ボディーをケアしてきた恩人が、S25年間も現役を続けられた秘話を明かしてくれました。【塚本光】
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8月27日の今季初登板。引退試合を除いて現役最後の登板となった時の、登板前のケアもやらせてもらいました。結果はご存じのとおりですが、降板後クラブハウスに戻ってきて、「川端さん、ダメだったわ」と。本人の中では「最後になるかもしれない」みたいな覚悟があったのかなと感じ、少し話した時に「やめるのかな?」と直感的に思ってしまって、泣いてしまいました。
引退会見の日、クラブハウスで話ししたんですけど、「あの時泣いてたよねー、やめてよー」と笑って言われました。長い間一緒にやっているというのもあるし、寂しくなって、自然と涙が出てきちゃいました。
トレーナー室での振る舞いはもう“神”でした。私は入団当時のチーフトレーナーから「トレーナー室は体のメンテナンスだけじゃなくて、心のメンテナンスもするところ」と教わり、世間話をしながら選手の本音を引き出すみたいなことをしています。石川はそれを肌で感じていたからだと思うんですけど、トレーナーじゃないのにすごく気を遣うんですよ。トレーナー室にクスッと笑えるような話題を持ってきたり、他の選手や僕らがほっこりするような話題を出したり…。すごく気を遣って、あえて話題を持ってきておしゃべりをして周りを和ませてくれました。
治療については、気を遣ってなのか「この人じゃないとダメ」というのはなかったですね。誰が治療する時も雰囲気は変わりませんでした。トレーナーによっても見方が違うからこそ、幅広く受けていたのかなと思っています。あと年上、年下にかかわらず、選手に体のケアの方法とか技術的なこととかいろいろなことを聞いていましたよね。すごく学びにどん欲で、自分が常にうまくなろうと思っているからだと思いました。
これは他のトレーナーに聞いたんですが、睡眠の質がすごくいいみたいで、睡眠時間も8時間程度を途中で起きることなく寝られるらしいですね。年齢が上がると、途中で起きたりすると思うんですけど、今でもそういうこともほとんどないみたいです。そのトレーナーいわく、「リカバリーの天才」だと。
あと、どんな状況でも休まなかったですよね。登板の日に高熱が出たことが過去に数回あったんですが、こちらが止めても「いや絶対マウンドにいく。絶対いく」と言ってこちらの言うことを聞いてくれなかったですね。「絶対マウンドにいって役割を全うする」という強い思い、「休んだら次がなくなるんじゃないか」という危機感があったんじゃないですか。これが体の強さでもあり気持ちの強さなのかなと。若い時から変わっていないですよね。よく「抜けたら戻るところがなくなるから」とも言っていましたし。長く現役を続けられたのは、無理をすることもありながら、これ以上いったらケガにつながるからここはやめておこうと、そういう感覚に優れていたんだと思います。「敏感と鈍感の綱渡りです」と言っていましたね。
シーズンオフとかもいろんなことに挑戦していましたよね。ファスティングをやったり、いいなと思ったことは変化を恐れず取り入れる人ですよね。
自分の体に妥協しないですよね。あるチーム関係者がシーズンオフにたまたまゴルフか何かで朝早く6時とかに都内を車で走っていたら、ランニングしてる人がいて、よく見たら石川だったと。基本毎日やってますと言っていましたけど。オフシーズンのトレーニングは、これぐらいやっておかないと1シーズン戦えないなと、体でもうわかってるのかなと思っていました。
野球とは全く関係ないんですけど、洋服をめちゃくちゃもらいました。身長が同じぐらいなんですよね。家にある洋服の3分の1はおさがりと言ってもいいくらいかな。あと、例えばシーズン始まる時とかキャンプの時とかに、チームスタッフに対して「今年もよろしく願いしますと」、トレーニングシューズやサングラスをプレゼントしてくれましたよね。そういう感謝の気持ちは常に忘れない人です。本当に長い、25年という長い時間、本当にお疲れ様でした。たくさんの良い思い出をありがとう。またトレーナー室でいろんなバカ話をしたいね。(ヤクルト・トレーナー)