【阪神】佐藤輝明が広島で吠えた理由「必要だったんじゃないかな」V導いた3冠男は言動全てが財産
<広島6-4阪神>◇3日◇マツダスタジアム
初のリーグ連覇はサトテル抜きには語れない。主砲の佐藤輝明内野手(27)は打率、本塁打、打点の3冠など、あらゆる主要打撃部門リーグトップで猛虎打線をけん引した。課題だった打率もセ界で唯一の3割超え。無敵の4番が球団創設91年目で悲願へ導き、感無量の笑顔を見せた。
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佐藤は感無量だった。「めちゃくちゃ最高です」。負けて優勝と異例だったが、形は関係ない。「しっかり貢献できた。よりうれしいですね」。2割7分7厘がキャリアハイだった打率は急上昇。セ唯一の3割超えで、86年ランディ・バース以来となる伝説の3冠王に手が伸びている。
甲子園のおひざ元、兵庫・西宮市で生まれ育った怪物スラッガー。今季の交流戦ではパ球団からも「佐藤はちょっと別格」と恐れられていた。スター性はバットだけではない。プロ6年目、佐藤輝明を表す象徴的なシーンは何度もあった。
7月19日、マツダスタジアムの決勝二塁打で過去にないほどほえまくった。強打者故に内角攻めが増えていた時期。胸部すれすれの投球さえあった。「感情を出さないっていうこともできたと思うんですけど」。優勝した今だからこそ明かせる。「ああいう感情を出すというか、そういうのも必要だったんじゃないかな」。単に感情に身を任せた行動ではない。連覇は険しく、長い山道だった。月間打率が今季ワーストだった時に勝利への欲求を示した。今季最大9連戦のど真ん中だった。珍しき主砲の姿を目に焼き付けた虎ナイン。優勝への原動力になった。
普段は冷静な男。転機は近大3年時だった。副将の佐藤は不調時に怒りを出すタイプだった。見かねた当時の主将から「輝はチームの主軸やろ。みんな輝の行動見てるねんで」と言われた。「4番やし、試合出てるし。お前を見てみんな動いているんやから、もっとやってくれよ。野球以外の部分でもっとやってくれよ」。主将は自分の弱みに真剣に向き合ってくれた。
ずっとスターだった。18歳、近大入学後の初実戦で初球ホームランを放った。当時も周囲から「あいつは別格なんやな」と一目置かれた。順風満帆に思えた野球人生は急転した。主将の言葉で「野球人」である前に「人」として自分を見つめ直した。素直で優しい佐藤は目が覚めた。「ごめん。気をつけるわ…」。雑務も丁寧になった。人格を変えてプロ入り。主軸として自分が周囲に及ぼす影響力は熟知している。広島の夜、感情を解放したことには意味があった。
7月24日、才木浩人が巨人ダルベックに「あと1球」から逆転2ランを許した。30秒間も立ち上がれなかった右腕に真っ先に声をかけたのが佐藤だった。肩をたたいて「ういうい」とだけ励ました。坂本誠志郎や大山悠輔ら模範となるべき先輩の姿を見てきた。全力疾走も怠らない。連覇の指揮官、藤川監督も4番の細かな行動に目を細めていた。ファン対応まで一流。刻んでいく“輝跡”は猛虎の財産。佐藤輝明が残すレガシーは、連覇の金字塔だけじゃない。【只松憲】