【写真】阪神対DeNA 11回裏阪神1死、サヨナラ本塁打を放ち笑顔を見せる大山悠輔(撮影・上田博志)

<阪神3-2DeNA>◇21日◇甲子園

阪神は大山の劇的なサヨナラ本塁打で勝利し、優勝へ1歩近づいた。シーズンを振り返った際に、「あの1発があったから」と殊勲の一振りになるかもしれないと思えるほど、その価値は大きいと感じた。

2-2の8回、絶体絶命のピンチをしのいだことが、この幕切れにつながった。無死二、三塁の場面。蝦名の強烈な打球は佐藤の正面を突く三ゴロ。1死からDeNAは古市の打席でスクイズを仕掛けたが、及川の投球が外角低めに外れバットに当てられず、飛び出した三塁走者がタッチアウト。結局、無失点に抑え、紙一重のところで勝ち越しを許さなかった。

し烈な優勝争いをする阪神、巨人。しびれる試合が続いているが、正直、この状況ではどちらが有利、不利はないと思う。

実は現役の時に同じような状況を味わった経験がある。中日時代の2011年、首位ヤクルトに8月の時点で最大10ゲーム差をひっくり返し、逆転優勝した。

中日が残り10試合、ヤクルトが9試合で、中日は0・5差で首位だった。そして、直接対決4連戦を迎え4連勝し突き放したが、当時を思えば、追う方も追われる方も、1試合も負けられない状況で、どちらが楽だとか、厳しいだとかはないに等しいと思っている。

中日はリーグ連覇がなく、相当なプレッシャーがあったが、前年に優勝した経験、実績は自信になっていた。

その経験値、実績を阪神、巨人に当てはめても、阪神は前年に優勝しているし、巨人も坂本、丸ら優勝経験があるベテランがいるので、互角だと思う。

ではなにが差をわけるのだろうか。いかに平常心で戦えるかだと思う。中日時代、落合監督だったが、残り10試合になっても、「いつも通りの野球をやる」ということに徹していた。ヤクルトとの直接対決にしても、選手間で特別な意識を持たず、普段通りの野球をやるということにブレはなかったから、勝敗で一喜一憂することはなかった。その気持ちの持ち方が、今思えば、冷静に戦えたひとつの要因だったように思う。

10月1日の直接対決(甲子園)まで、熱い戦いは続くだろう。9月になってからあまり流れが良くなかった阪神だが、この劇的勝利で、勢いに乗れるか。22日のヤクルト戦(神宮)は、ポイントになると思う。

(日刊スポーツ評論家)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【谷繁元信】阪神劇的サヨナラ弾で優勝へ1歩近づく し烈な争いの中”いかに平常心で戦えるか”