Jリーグにいると日本代表に選ばれないのか?谷村海那サプライズ選出、小川航基の落選から考える
こんな巷説(こうせつ)が流布している。
「Jリーグにいると日本代表に選ばれない」
国内で戦っている選手たちの口からもそう聞く。実際の数字で確認すると、あながち間違ってはいない。
■14年の11人から26年は3人に
近年のワールドカップ(W杯)代表メンバーにおけるJリーグ所属の人数はこうだ。
◆14年ブラジル大会 23人中11人(占有率47・8%)=GK2、フィールド選手(FP)9
◆18年ロシア大会 23人中8人(占有率34・7%)=GK2、FP6
◆22年カタール大会 26人中7人(占有率26・9%)=GK1、FP6
◆26年北中米大会=26人中3人(占有率11・5%)=GK2、FP1
有力選手が欧州へ移籍する流れが加速している。それに伴い、W杯のメンバーにおけるJ組の割合は減少している。
特にFPは顕著だ。今夏のW杯では39歳の長友佑都(FC東京)が唯一のFPだった。そこは特別な実績を持つレジェンド選手だけに、Jリーグの第一線で活躍していた旬の選手たちは入れなかったといえる。
そしてW杯を終え、新たに4年後を目指す活動が再開される。その9~10月の活動に向けたメンバーが発表された。4試合を戦うこともあり、通常より多く31人を招集。Jリーグからは5人が選ばれた。
その占有率は16・1%。そこは来年1月のアジアカップ優勝を目指すために「継続」路線で進むため、決してJリーグに門戸が広がったものではなかった。
森保一監督は「W杯メンバーを中心にベースを作りながら、W杯で選べなかった選手、今存在感があって成長の期待を感じさせる選手ということで構成した」と説明した。
■谷村海那のサプライズ初招集
プロキャリアをJFLから始めてはい上がってきた谷村海那(横浜)が初招集され、話題となっている。一方で、日本代表に入って4年後のW杯に出場するためにJリーグに復帰したと公言していた小川航基(町田)が外れた。「呼べるものなら呼びたかった」と森保監督は口にしたが、今回は全体的なポジションのバランスから押し出された。
メンバー発表会見があった当日夜、選から漏れた小川がアジアチャンピオンズリーグ(ACL)2を戦っていた。後半途中から出場となった試合後、日本代表について問われた小川は、避けることなく堂々と受け答えした。
「常に入りたい場所ですし、めちゃくちゃ悔しいっていうところは率直に感じました。僕はとにかく結果が必要とされるほど、結果を出すしかないと思っているので、やることはただ一つ。(心に)火がついた」「反骨心というのは強く思っていますし、ゴールというか、アピールしたいと思います」
4年後を見据えている。実際にW杯後も欧州5大リーグでのプレーを希望していたが、翻意しての町田入り。誰もが「なぜ?」と疑問符を持った。
小川いわく、例えばブンデスリーガの下位のチームにいてシュートチャンスが少ない中で燻(くすぶ)っているよりも、Jリーグで優勝を狙っている町田なら多くのパスが届くため「自分が輝ける」との判断だ。
加入後はオランダでの顔面骨折の影響もある中、2得点を挙げた。ただ、コンディションは上向いているとはいえ、万全のパフォーマンスとはいい難かった。
その現状を受け入れ、自らにベクトルを向け続ける姿は清く美しいものだった。
■1年超も離脱した熊坂の復帰
ここであらためて、Jリーグにいると選ばれないのか?
説明するまでもなく、巨額のサラリーを手にできる欧州5大リーグは世界各国のトップ選手が集い、日頃からしのぎを削っている。そんな厳しい環境で戦う選手たちが、舞台を変えてW杯で戦っているのだから、そこに「日常」がある選手たちの優位性は確かである。
ただ、小川の言うように「自分が輝けるか」は大きなファクターとなってくる。例えばJリーグであれ得点を量産すれば、谷村のようなサプライズ招集もある。
また、3バックでも4バックでも臨機応変にこなせるポリバレント性を発揮すれば、中野就斗(広島)のように代表の扉が開く。負傷による1年近い離脱を乗り越え、ボランチとして存在感を再び発揮している熊坂光希(柏)が復帰したのも、大きな希望だろう。
くしくも欧州とカレンダーを合わせた「秋春制」への転換。海外との関わりが深まることで、Jリーグはより活性化していくはず。だからこそ欧州5大リーグありきでなく、はたまたJリーグがというわけでなく、持ち味を発揮している選手個人によりフォーカスされるのではなかろうか。そこは「選手が輝いているかどうか」という基準に、だ。
くしくもJリーグにいながら代表復帰を果たした相馬勇紀(町田)がこう話した。
「サッカー選手である以上、やっぱり代表目指さないで、どこ目指すんだっていうのは自分の中にある」
日本には誇れるJリーグがある。4年後のW杯には、今この舞台で戦っている選手たちの姿も見てみたい。【佐藤隆志】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サカバカ日誌」)