【緒方耕一】巨人は劇的な勝利も冷や汗もの 逆転Vへ今のメンバーで浦田不在の穴を埋めるなら…
<巨人2-0中日>◇18日◇東京ドーム
泉口のサヨナラ2ランで劇的な勝利を飾った巨人だが、冷や汗ものの試合だった。プレーできない選手の話をしても仕方ないのだが、改めて「浦田不在」の大きさを感じさせた。
中日の先発、左腕・金丸は今季5勝でも打ち崩すのは容易ではない。では、どうやって攻略していくのか? 機動力を意識させて突破口を開くことを考えたい投手だった。
まず、今時では珍しく大きく振りかぶって投げるので、クイックモーションは真っすぐで1・25秒くらいだった。タイムだけを見ればプロでは標準的。それほど苦手にしているとは思えないが、「できればクイックでは投げたくない」という雰囲気を感じさせるタイプだった。
初回1死一塁で、走者は盗塁のできる松本。カウント1-2からスライダーでスタートを切ったが、クイックは1・22秒。ギリギリでアウトになった。
けん制もいろいろなバリエーションを持っている。松本が盗塁失敗したときの1球前には、ゆっくり足を上げて投げていた。これはけん制する見せて投球する技術。見事ではあるが、まだ若くてこの手の技術を駆使するのは、軸足にしっかりとタメを作って投げたいからだと思う。
そしてクイックで投げると、コントロールが甘くなる。9回1死一塁も走者は松本。初回は盗塁アウトでも、走られているという認識は持っていただろう。そして外角を狙ったスライダーが内角に抜けて、泉口に痛打された。球数は113球目で疲れもあっただろうが、クイックだと甘くなる弱点が出たといっていい。
浦田がいても塁に出たかは分からないし、盗塁を試みても成功しなかった可能性はある。しかし、この手の投手を相手にした場合、機動力を使える選手はプレッシャーをかけられる。言い換えると、金丸のような投手の攻略には欠かせない。
大きな期待をかけるのは酷だが、1番に起用された平山は3打席目まで6球で打ち取られた。4打席目も3ボールから空振り三振。1番を打たせるのは、まだ荷が重いと感じさせた。最後は機動力の圧力をかけてサヨナラ勝ちにつなげたが、それまでの戦いぶりは淡泊に見えた。
それにしても金丸と井上の投げ合いは見応えがあった。勝ち星に恵まれない金丸の立場から言うと、走者を置いたときのピッチングを磨いていけば、勝てる投手になれる。それぐらいいい球を投げていた。
巨人は負けられない試合が続く。今のメンバーなら、松本を1番に起用し、2番に小技が効く選手か、打力重視の打者を据えた方がいい。浦田不在の穴を埋めるかが、逆転優勝の鍵になる。(日刊スポーツ評論家)